電通国際情報サービス(ISID)は、国内の製造業を対象に、故障予知に特化したビッグデータ分析プラットフォーム「PDX」の提供開始を発表した。
電通国際情報サービス(ISID)は2018年5月、国内の製造業を対象に、故障予知に特化したビッグデータ分析プラットフォーム「PDX(ピーディーエックス)」の提供を開始すると発表した。2018年6月から、PDXの第1弾となる分析ロジック作成ツール「PDX SANDBOX」の販売を開始し、PDXを構成するその他のツール群も今後順次発売する計画である。
» 故障予測アルゴリズムを活用した、生産設備の余寿命推定サービスを実現
» AIを活用した故障予知は課題も多く、緩やかなペースで進展
» 「チョコ停」の要因解析を支援するアプリケーションパッケージ
PDXは、ISIDの関連会社で、故障予知関連の技術で知られるプレディクストロニクス(Predictronics)が開発した、複数のツール群で構成されるスイート製品。故障予知分析に必要となる製品/設備の稼働データ収集から、企業ごとの製品種別やニーズに応じた分析ロジックの作成、分析結果の可視化まで、一連の仕組みをノンプログラミングで実装できる。第1弾のPDX SANDBOXの他、稼働データ収集ツール「PDX DAQ」やWebベースGUIでの分析結果可視化ツール「PDX DEPLOY」から構成される。
第1弾となるPDX SANDBOXの特徴は2つある。1つは、複雑な分析システムをノンプログラミングで構築できることだ。稼働データを取り込む際の前処理や、分析のためのパラメータ設定など、これまでは専門的なプログラミングの知識を要していた分析システムの構築を、全てノンプログラミングで実施することができる。
もう1つは、豊富な知見に基づいて実装された分析モジュール群である。プレディクトロニクスの技術と知見、実績をベースに実装された分析モジュール群を活用することにより、手順に沿ってパラメータ設定を行うだけで高度な分析アルゴリズムを実行することができる。実行結果は、すぐにグラフ上に可視化されるため、設定したパラメータの妥当性をその場で確認しながら調整を加えていくことも可能だ。
なおISIDは、PDXの提供開始に合わせて、新たなソリューションコンセプトとして「インダストリアル・ビッグデータ」を打ち出し、製造業向けビッグデータ分析領域において今後さらなるソリューション拡充を図っていく方針である。
インダストリアル・ビッグデータとは、プレディクトロニクスの創業メンバーであり、予知保全の世界的権威として知られる米国シンシナティ大学 名誉教授のジェイ・リー氏が提唱した概念だ。製品の開発や生産、販売、稼働など産業分野の活動で生み出されるデータ群のうち、特に工業製品の工学的知見が関係するものを指す。その分析では、単なる統計的な相関だけでなく、物理的な原理と特性を踏まえたデータの特定性や、関連性、時系列性といった特有の要件が求められ、商業マーケティング向けのデータ分析と比べ、分析結果に対する誤差の許容度合いが厳しいとされる。
「今後、IoT(モノのインターネット)やロボティクス、自動運転技術などが本格普及期に入ると、あらゆるものがつながる世界において、いかにして有効なデータを効率的に収集するか、分析の仕組みをどう構築するか、結果をどう活用し展開していくかといった、広範な対応が企業に求められることになる。百年に一度といわれるモノづくりの大変革期において、インダストリアル・ビッグデータをどう制するかが、製造業の未来を左右するといっても過言ではない」(ISID)としている。
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