機械学習を利用した予兆保全にかかる期待は大きいが、特性上ブラックボックスが残るため現場の理解を得られない可能性も残る。機械学習導入で故障時の対応時間短縮などの成果を出している大阪ガス担当者の語る、現場定着のコツとは。
製造業において機械学習を利用した予兆保全にかかる期待は大きい。作業機械のネットワーク化やIoT技術の導入によって稼働監視(見える化)は現実のものとなったが、「この作業機械の調子が悪くなるかもしれないから、あらかじめ手を打とう」という予兆保全はまだまだ現場の勘や経験に頼らざるを得ない。
しかし、データ収集によって現状の把握が可能となったならば、その現状を元に未来を予測しようという発想に行き着くのもまた、自然な流れだ。特に機械学習(深層学習)の発達はその流れを強力に後押ししており、各社が機械学習を利用した製造業向け予兆保全ソリューションの提供を開始している。
とはいえどもこうしたソリューションの提供は始まったばかりであり、導入側としても情報収集を含めた試行錯誤の段階である。加えて実際にモノを作る製造業への導入ということになれば求める精度は高く、矢野経済研究所の調査では「10回のうち8回」の精度を求める声が最も多かった。機械学習を用いた予兆保全はあくまでも「予知」であるために100%の結果を得ることは難しいが、現場としては不完全かもしれない結果を受け入れることに心理的な抵抗があることは容易に想像できる。
大阪ガスはガスおよび電気の製造供給や家庭用燃料電池「エネファーム」の管理に機械学習を導入。故障予知や予防保全に大きな成果を上げているが、導入を先導した河本薫氏(情報通信部 ビジネスアナリシスセンター)はノンプログラミング機械学習ソフトウェア/サービス「DataRobot」の会見にて導入事例としての自社を紹介し「現場に理解ではなく、“納得”してもらうことが大切」と機械学習導入のコツを語った。
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