IoTが招く「データの爆発」にAI(ディープラーニング、DNN)で対応する動きが本格化しており、組み込み機器におけるDNNの推論(実行)を担う半導体チップの競争も激化の様相を呈している。
2017年4月も、国内外でLPWAに関する動きがいろいろあったのだが、同じ話題を繰り返しても仕方ないので、今月はエレクトロニクスや組み込み業界でも浸透し始めているAIの話をしたいと思う。
AIといっても幅広いのだが、今回のテーマはその中でも特に深層学習(DNN:Deep Neural Network)系である。ここ最近は特に自動運転に絡めたDNNの話題が多く、多くのメーカーがここに向けた製品をリリースしている関係もあってこちらに目が行きがちだが、そもそもIoTはDNNと相性が良い。これはセンサーフュージョンとも関係してくる話である。
IoTデバイスの増加数については各社がさまざまな予測データを出しているので、例えば2020年にセンサーノードが一体どの位の規模になるのかハッキリしないのだが、とにかく現在よりも膨大な数のセンサーノードが世の中にばらまかれるのは間違いない。
もちろん、その中には煙感知器の様に「何も起きなければ何もデータを出さない」ものも少なくないが、建物や地盤などの変移状況、振動の具合など継続的にデータを送り出すセンサーも当然増えてくる。問題は、これらを片っ端からクラウドに上げていたら回線はどれだけあっても足りないし、クラウド側もデータ処理能力が無尽蔵にある訳ではないので、何らかの形でデータを「絞る」必要があるということだ。
この「どう絞るか」だが、例えば加速度センサーなら精度が上がるほど細かな微振動を拾ってくるので、それをフィルタリングして細かなノイズを落とし、意味のある動きだけを上位に持ってくるようにするというのが、これまでのIoTの「絞り方」だった。そして、そういう処理をリアルタイムかつ高速に行うには、やはり8bit MCUでは力不足なので、32bitのMCUにしましょうといったストーリーだった訳だ。
このストーリーそのものは現在でも有効というか、第一弾としてのフィルタリングは個々のセンサーに近いところで行うことになるが、問題はその先である。
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