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ソフトバンクが買収したAmpereの「流転の生涯」をたどる大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)

ソフトバンクグループが買収を発表した米Ampere Computing。Intelの元社長であるRenee James氏がCEOを務める同社は、紆余曲折を経て生き延びてきた企業でもある。同社の生い立ちからこれまでを、製品とともにたどってみたい。

» 2025年04月10日 14時30分 公開
[大原雄介TechFactory]
TechFactory

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 2025年3月21日、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)がAmpere Computingを買収することを発表した。ソフトバンクの思惑は最後にまとめるとして、まずはAmpere Computingの生い立ちというか“流転の生涯”をご紹介したいと思う。

AMCCとして創業

 Ampere Computingはもともと、1979年にAMCC(Applied Micro Circuits Corporation)として米カルフォルニア州で創業した。当初は軍需向けのASICの製造が売り上げの7割を占めたほどの軍事向け企業であるが、1982年にはNS(National Semiconductor)の創業者の1人だったRoger Smullen氏が同社の会長に就任、1983年にはCEOも兼任することになり、ここから非軍事向けのビジネスが急速に伸びる。もっとも、この後売り上げが落ちて経営陣が何度か入れ替わったり、1994年にはIPOに失敗したりと紆余曲折をたどるのだが、1993年頃から製品ラインをASICからASSPに転換、特に高速ネットワーク向けのASSPが非常に好評で、これもあって1997年には今度こそIPOに成功する。当初はNetwork向けのPHYとかBridgeなどが主力製品であったが、2000年にMMC Networksという独自の64bit Packet Processing Processorを開発して提供していた会社を買収。これによりAMCCはProcessor Businessに参入することになる(図1)。

図1 そのMMC Networksが提供していた「XPIF-300」。ここにもあるようにCisco SystemsやLucent/Alcatelなどに採用されていたが、こうした会社が自前でNetwork Processorを開発する様になり、急激に売り上げが落としたことでAMCCによる買収につながった[クリックで拡大]

 ただAMCCは、MMCの持っていた「XPIF」シリーズを発展させるのではなく、IBMの「PowerPC」に鞍替えする。もともとAMCCは通信向けPHYなどにIBMのシリコンゲルマニウム(SiGe)技術を利用して製造するなどIBMとの関係が深く、それもあってIBMとFreescale Semiconductorが2004年にPower.orgを結成した際には、そこに加盟すると同時に、IBMから「PowerPC 400」シリーズのビジネスを丸ごと買収。こちらを核にプロセッサビジネスを進めていくことを定める。

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