ソフトバンクグループが買収を発表した米Ampere Computing。Intelの元社長であるRenee James氏がCEOを務める同社は、紆余曲折を経て生き延びてきた企業でもある。同社の生い立ちからこれまでを、製品とともにたどってみたい。
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2025年3月21日、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)がAmpere Computingを買収することを発表した。ソフトバンクの思惑は最後にまとめるとして、まずはAmpere Computingの生い立ちというか“流転の生涯”をご紹介したいと思う。
Ampere Computingはもともと、1979年にAMCC(Applied Micro Circuits Corporation)として米カルフォルニア州で創業した。当初は軍需向けのASICの製造が売り上げの7割を占めたほどの軍事向け企業であるが、1982年にはNS(National Semiconductor)の創業者の1人だったRoger Smullen氏が同社の会長に就任、1983年にはCEOも兼任することになり、ここから非軍事向けのビジネスが急速に伸びる。もっとも、この後売り上げが落ちて経営陣が何度か入れ替わったり、1994年にはIPOに失敗したりと紆余曲折をたどるのだが、1993年頃から製品ラインをASICからASSPに転換、特に高速ネットワーク向けのASSPが非常に好評で、これもあって1997年には今度こそIPOに成功する。当初はNetwork向けのPHYとかBridgeなどが主力製品であったが、2000年にMMC Networksという独自の64bit Packet Processing Processorを開発して提供していた会社を買収。これによりAMCCはProcessor Businessに参入することになる(図1)。
ただAMCCは、MMCの持っていた「XPIF」シリーズを発展させるのではなく、IBMの「PowerPC」に鞍替えする。もともとAMCCは通信向けPHYなどにIBMのシリコンゲルマニウム(SiGe)技術を利用して製造するなどIBMとの関係が深く、それもあってIBMとFreescale Semiconductorが2004年にPower.orgを結成した際には、そこに加盟すると同時に、IBMから「PowerPC 400」シリーズのビジネスを丸ごと買収。こちらを核にプロセッサビジネスを進めていくことを定める。
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