AI(Artificial Intelligence)は急速に発展していますが、AIに対して「人間的」な挙動や反応を期待するのは(まだ)筋違いなのかもしれません。
AI(Artificial Intelligence)の進化や発展についての話題は尽きることなく、私たちの前に登場しています。ここ数週間だけでも、「第2回囲碁電王戦における人間側の勝ち越し」や「東ロボくんの東大合格断念」「GoogleとIntelのAIおよびIoT分野での提携」など多くのトピックがありました。
多くの文脈で「AI(artificial intelligence)」と「人工知能」を類似したものと扱い、AIは人間に近しいもの、人間に近づくものというニュアンスで語られていますが、これはミスリードになりかねないのではないかと思う機会が増えました。特に、早稲田大学 尾形教授の講演を聞いた後には強く感じました。
私たちが「人間」という言葉が持つイメージには、純粋な頭脳活動である思考はもちろん、無意識下のものをあわせた行動も含まれます。「人間的なもの」と定義された場合、“それ”はあたかも人間のよう、外部からの入力に対して反応し、考え、行動することが期待されるでしょう。
そうした人間的なものを創造しようとした場合、AIとロボティクスの技術が用いられることになる可能性が高いといえますが、「反応し・考え・行動する」の3ステップを実際の人間と遜色ないレベルで実現するにはまだ多くの問題が横たわっています。“人間的なもの”へ「赤いコップを取って」と頼むことを例に考えてみましょう。
人間ならば「赤いコップを取って」と頼まれれば、まず「視野に赤いコップはあるか」を探しますが、まず視野とはどこまでの範囲を指すでしょうか。見渡す範囲になくても、扉の付いた棚の中にあるかもしれません。テーブルの上にコップがあったとして、赤と朱色のコップがあったらどう判断しましょうか。一般的な円筒形のコップではなく、ワイングラスがあったらそれは「コップ」でしょうか。
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