IoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していく連載。第2回はIoTシステムの構成と、センサー、通信、クラウドといった各要素の役割について説明し、最後にディープラーニングによる分析に関する内容を出題します。
蒸気機関が発明されて第1次産業革命がスタートし、第2次産業革命では石油と電気によって生産性が飛躍的に向上しました。第3次産業革命はコンピュータと情報通信による合理化です。初期のコンピュータは、「汎用機」と呼ばれる大型の機械でした。大型であればあるほど高性能なので、それを通信回線で共有するシステムから始まり、やがてインターネットやPCが登場すると、個人がコンピュータを所有できるようになり、汎用機の役割もサーバが担うようになりました。
今話題の「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」は第3次産業革命の一部のようにも見えますが、「第4次産業革命」だといわれています。それはコンピュータ(CPU)の役割が根本的に変化したと考えられるからです。
第3次産業革命当初のCPUは、現在と比較すると高価で低性能なものでした。それがIoTでは温度センサーにCPUを載せ、無線通信で接続できるようになりました。これらの量的な変化が質的な変化をもたらした――。それが第4次産業革命と呼ばれるゆえんです。
ここでは代表的なIoTを、“センサーから集めた情報を通信回線(インターネット)を介してクラウドに送り、それらをクラウド上で処理するもの”として説明しています(図1)。いわゆる情報通信機器ではない、さまざまなものにCPUと通信機能を持たせ、インターネット接続することで、遠隔計測だけでなく大量のデータを収集・分析し、自動認識などの高度な判断を実現するものです。
IoTは、その言葉の中に“インターネット”という用語を含んでいますが、それは“通信”を意味する用語として捉えることができます。情報を集めるセンサー側には、データ処理した結果から何らかの動作を行うアクチュエータがあるかもしれませんし、分析結果を表示する端末があるかもしれません。クラウド側については通常のサーバでも構いませんが、サーバからクラウドに置き換わることで、多くの場合、処理性能が飛躍的に向上し、運用コストも抑えることができます。
IoTが実現する社会では、センサーから取得した情報を分析して「見える化」し、その分析結果をもって現実社会の装置やサービスを「制御」して、さらに人工知能(AI)を用いてその制御を「最適化・効率改善の自動化」できるようになります。
第3次産業革命の時、既に“どこでもコンピュータ”を目指した「ユビキタスコンピュータ」や、人工知能の分野でも今話題の「ニューロンコンピュータ」が登場していました。しかし、当時の技術力では現実的なものになれなかったのです。それがスマートフォンとクラウドの普及によって、処理性能などが向上し、低価格化されたため、実現可能となりました。それがIoTなのです。IoTの技術が社会一般に普及することで、世の中を変革していくでしょう。
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