SOLIDWORKS Simulation ワークショップ
パスタで橋を作ってデザインが構造を強くすることを証明せよ! 設計者CAE講座(1/3 ページ)
お題は「橋」、部材は「パスタ」。設計者向けCAEソフトウェア「SOLIDWORKS Simulation」を題材にしたワークショップでは、デザインが構造を強くすることを証明するため、パスタを使った強い橋作りに挑戦する。設計、解析、製造、実験、コンペの各プロセスを体験することで、設計者CAEの有効性だけでなく、製造を意識した設計の在り方(製造に優しい設計)など、モノづくりに欠かせないさまざまな気付きやヒントを得ることができる。
設計者CAEとは? その有効性を学ぶ
「パスタを使って、強い橋を作ってみてください」――。
そんな一風変わったワークショップが行われている。ミッドレンジ3D設計ソリューション「SOLIDWORKS」と、設計者向けCAEソフトウェア「SOLIDWORKS Simulation」(SOLIDWORKSのアドオン製品)を用いて、設計、解析、製造、実験、コンペまでの各プロセスを約1日かけて実践する内容だ。ソリッドワークス・ジャパンやSOLIDWORKSの販売代理店などが主導し、同ワークショップを企業や教育機関向けに展開しているという。
“パスタで橋を作る”というインパクトのあるワークショップの内容が一体どのようなものなのか? 今回無理を言って、通常約1日のコースを3時間にコンパクト化した特別ワークショップを開催してもらった。本稿では、同ワークショップの狙いとその内容について紹介する。
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パスタ橋の製作で「デザインが構造を強くする」を証明する
実は、乾燥パスタで橋を作ることはそれほど珍しいものではなく、「パスタブリッジ」「スパゲティブリッジ」と呼ばれ、大学などで研究課題に用いられたり、コンテストが行われたりしている。試しに“パスタブリッジ”でGoogle検索すれば分かるが、コンテストやレポートが幾つもヒットする(以降、本稿では「パスタ橋」で統一する)。
このパスタ橋をワークショップに取り入れたきっかけは、こうした教育機関の取り組みではなく、小学生読者を対象にした週刊新聞の夏休み企画だったという。「これを参考に、SOLIDWORKSでしっかりと設計および解析を行い、製造から実験、コンペまでの流れを、手を動かしながら体験してもらい、『デザインが構造を強くする』ということを学んでもらうこと、それを証明してもらうことをワークショップのテーマにしようと考えた」と、ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 ユーザーエクスペリエンス シニアマネジャーの大澤美保氏は説明する。
通常行われているパスタ橋のワークショップでは、SOLIDWORKSによる設計(CAD)やSOLIDWORKS Simulationによる解析(CAE)の基本的な操作を学ぶと同時に、実際に手を動かしてパスタ橋を製造するプロセス、そして実験、コンペのプロセスを、4~5人1組のチーム制で実践する。
PC環境の中では実物大の橋を設計して、CAEを用いて“実物大の机上実験”が行える。しかし、ワークショップでは実際の製造、実験に関しては実物のような大きな橋を製造できないので、40cmのパスタ橋(模型)で検証する。「机上だけではなく、実際に製造して実験し、その結果を検証することも大切だ」と大澤氏。チーム対抗のコンペでは、一番強い橋を作ったチームが表彰される。
同ワークショップにおける強い橋の評価は、
荷重 ÷ パスタ橋の総重量 = 効率
で判定され、より効率の良いパスタ橋を作れたチームが優勝となる。
設計者たるもの、製造に優しくなくてはならない
「役割分担をして、分業体制で効率的に製造まで進めていくチームもあれば、全員が同じプロセスに取り組み一番良さそうな案を採用して進めていくチームもある。1日という限られた時間の中で、各プロセスをどうやって管理し、どう効率化するかも各チームの腕の見せ所となる」と大澤氏は語る。
さらに、そもそも分業しやすい作り(構造)なのか? 分業によりかえって非効率になってしまわないか? といった製造プロセスを意識した“優しい設計”になっているかどうかも大きく問われるという。
「設計者たるもの、製造に優しくなくてはならない」と大澤氏。この言葉の通り、大澤氏がお手本で見せてくれたパスタ橋は製造効率を考えて、全て長さ10cmに切った部材(パスタ)で組み上げられている。慣れもあるというが、部材のカットから組み立てまで、1人作業で1時間もかからないそうだ。ちなみに、部材同士の固定はホットボンドを用いて行うため、使った接着剤の重さも橋の重量に含まれる。
応力をどうやって分散させるか?
橋の構造としては、鉄道の橋梁(きょうりょう)などによく見られる「トラス(Truss)構造」がある。トラス構造の橋は三角形に組み合わせた部材をつないでいき、橋の桁を構成するもので、大澤氏のお手本はこの構造を採用している。さらに、トラス構造と対でよく出てくるのが「ラーメン(Rahmen)構造」だ。「パスタの橋にラーメンか」と麺類の方を一瞬想像してしまったが、ドイツ語で“額縁”という意味を持ち、長方形に組まれた部材を剛接合した構造のことだ。構造的に開口部が広くとれるため、建築物などにもよく利用されるそうだ。
鉄道の橋梁をイメージした場合、構成する部材には電車の荷重(外力)がかかり、その際、部材には応力が生じる。応力には「引っ張り」「圧縮」「モーメント(曲げ/ねじれ)」があり、トラスおよびラーメンは、こうした応力を分散させるための基本的な構造といえる。例えば、三角形のトラス構造の場合、構成する3つの部材が交わる点の部分で接合されているため、曲げモーメントに強いといった特性を備える。「橋の構造は面白く、ピアーと呼ばれる橋脚は橋と完全には固定されておらず、シューという支持部品の上に橋を載せているだけだ。このように実際の橋は、うまく力を逃がす作りになっている。こういうことを昔の設計者は手で計算していた。今はCAEという便利なツールがあるので、“これを使わない手はないでしょう”というのがワークショップの狙いの1つでもある」と大澤氏。
ワークショップの実験、コンペでは、橋の中央部にかまぼこ板を配置し、その中央に割り箸を置き、両端から糸をたらして、床に固定した滑車を介して上に引っ張り上げる形でパスタ橋に荷重をかけていく。パスタやホットボンドの使用量は無制限だが、前述の通り“効率”で評価するため、少ない部材でいかに強い橋が作れるかがポイントとなる。また、少しずつ荷重をかけていくとパスタ橋が次第にゆがんでいき、最後には壊れてしまう。その変形の過程が想定通りのものか? どこから破壊が始まるのか? といった点をしっかりと観察して、次の設計改善にどう生かすかを考えることも重要だという。
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