日立製作所はダイセルと共同で、IoTを活用して経営情報から製造現場の状況までのKPI(主要業績評価指標)を一元的に可視化する、経営・製造ダッシュボードを開発した。
日立製作所(日立)は2017年10月、ダイセルと共同で、IoT(モノのインターネット)を活用して経営情報から製造現場の状況までのKPI(主要業績評価指標)を一元的に可視化する、経営・製造ダッシュボードを開発したと発表した。日立では今後、国内外の製造業向けに同システムの事業展開を進めていく。
今回開発したシステムは、両社が進める協創プロジェクトの一環。作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検知する画像解析システムにより、これまで収集してきた製造現場の4M(Man:人、Machine:設備、Material:材料、Method:方法)データを活用している。
この4Mデータを用いて、職務階層ごとに、経営改善や生産性向上について意思決定するために有用なKPIを時系列でグラフ表示する。
具体的には、経営者層には事業や工場ごとの売り上げや利益率、キャッシュフロー、可動率などを、工場管理者層には工場のラインごとの生産量や可動率、他工場の情報などを、ライン監督者層には担当ラインごとのサイクルタイムや設備稼働状況、他ラインの情報などをKPIとして提供する。
この4Mデータに加え、グローバルに展開している製造現場の情報(加工実績、作業映像など)も統合。ビッグデータ解析技術によって不良発生時の原因分析や改善施策提案を各現場にフィードバックし、グローバルでの製品品質向上につなげる。
また、同システムでは、日立の製造業に関する各種ノウハウや、独自のKPIツリーのモデル化技術を利用して、現場視点を重視した有用なKPIを設定できる。ダイセルが重要視するKPIの1つ「究極の原価管理」の例では、実作業時間と標準タクトタイムに対する遅れ、段取り時間、設備を起因とする待ち時間などの実績データをより上位のKPI(可動率や製造原価など)にひも付け、経営層から現場層までのシームレスな分析が可能になる。さらに、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」のデータ統合基盤や、ビッグデータを効率良く整理および蓄積するデータレイクの機能を採用することで、効率的に見える化や分析ができる環境を構築できる。
ダイセルでは、エアバッグの基幹部品を製造する播磨工場において、2017年10月からライン監督者層向けの製造ダッシュボードの運用を開始する。その後、経営者層向けの経営ダッシュボードを運用するため、ブラッシュアップしていく。さらに、海外主要6工場に順次導入し、グローバル視点での経営判断の迅速化や製造現場での生産性や品質の向上につなげる。
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