IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(3)
計測で組み込みソフトウェアの「品質」を丸裸にする(5/6 ページ)
“登場人物”が多いとはいえ、組み込み品質はデバイス中心の品質になりがちだ。ハードウェアのデバイスが小気味よく正しく動作するかが最初に問われる。品質としてデバイスの操作感が大事にされる。操作ボタンやタッチパネルは素早く反応してほしいが、速すぎても駄目だ。目にも止まらない速さではなく、目に止まる速さがいい。
ユーザビリティについて言及したが、デバイスにはハードウェアのロバストネス(堅牢性、頑健性)も要求されるので、ソフトウェア品質としても信頼性の障害許容性や回復性が強く求められる。つまり象が踏んでも壊れない品質が欲しい。しかしこれらのロバストネス系の品質を計測するのは大変である。簡単にはできない。メカであれば象に踏んでもらうだけで簡単だが、ソフト品質ではぞうはいかない。
組み込み系になじみの薄かったセキュリティを計測するのも大変である。脆弱(ぜいじゃく)性がないかどうかを何らかの方法で計測する必要があるが、どこにどんな入力があり、それがどんな動きをし、そのためにどんな実装になっているかなどをセキュリティ観点で調べて計測する必要がある。セキュリティを考慮していない組み込みシステムだと、最初の段階で頭が痛くなるだろう。
しかしながら「難しい、大変だ」と言っていても計測は始まらない。そこでまずは機能適合性、つまりバグ件数から計測することを考える。バグを検出する組み込み系のテストも大変であるが、ここでは何らかの方法でテストを実施し、バグ件数が知れたとしよう。
次にやることはバグ密度の計測であり、そのためにはプログラムのソースコード行数(SLOC:Source Lines Of Code)を各場面で計測することになる。システム全体やサブシステム、単体でSLOCを計測する。これからバグ密度を導出する。この計測をルーティンワークにして、気楽に計れるようにしよう。
バグ密度以外を計測するのは急に難しくなる。品質予測に使えるレビュー指摘密度を計測したいとしよう。レビュー指摘件数はそのレビュー対象物だけでなくレビュワーによって大きく異なる。テストにおけるテスターは一定の品質が保証されるが、レビュワーはそうはいかない。レビュー対象の製品が悪いのか、それともレビュワーが悪いのか、両方とも悪いのか分からない。こうして責任の擦り付け合いが始まり、大変なことになる。
大変さの羅列はここまでにしよう。万能の解決策もなく、個々の状況に応じて、解決していくしかない。頭が痛くなってきたが、次回の品質制御では本格的にこの頭の痛いところに触れるようにする。
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IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
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