IoTやAIが一般化する未来においても、ソフトウェアテストは険しい道のりを歩むことになるのだろうか。まずはテスト技術者に焦点を当て、その生きる道と道しるべである教育について見ていきたい。
ソフトウェアテストの未来はどうなるのか。IoTやAI、ビッグデータ時代でもこのまま険しい道が続くのか。それとも緩やかな回り道が見いだされるのか。
どのような道が待ち受けているかを探るため、ソフトウェアテストの未来をのぞいてみる。前編の今回は「テスト技術者」にスポットを当てて、これからのテスト技術者の生きる道とその道しるべとなる教育について見ていく。
・第9回:ソフトウェアテストの施策と運用(後編)――カギを握るテストの運用
・第8回:ソフトウェアテストの施策と運用(前編)―新時代を生き抜くテスト施策
・第7回:ソフトウェアテストの試練(後編)―IoTとAI、ビッグデータが愛したテスト
・第6回:ソフトウェアテストの試練(前編)―IoTとAI、ビッグデータの試練を乗り越える開発
・第5回:ソフトウェアテストの手法と施策(後編)「テストの施策」を反省する
今まではソフトウェアテストの仕事そのものについて見てきたが、このテストを実施するテスト技術者とはどんな人なのか。テストが好きで好きでたまらない人か、プログラムのあら探しに生きがいを感じている人か、それとも仕事として割り切ってやっている人か。ここではテスト技術者の生態を探っていき、これからのテスト技術者のあるべき姿を求めていく。
最初に新時代のテスト技術者のあるべき姿を見ていく。例えばAIシステムのテスト技術者のあるべき姿は、「AIをブラックボックスでなく、学習データや規則を全て把握し、AIの動作を完全に理解し、確定的なテストケースを作る能力があること」となるだろうが、神様でもない限りそれは無理だ。神様でもなく、AIのバグを本能で察知する特殊能力者でもない人間のテスト技術者は、数学、なかでも統計の使いこなしを目指すべきだ。
非決定的なシステムの正当性(バグが出ないこと)を保証するには、神様でもない限り何回も試行して、統計的に推測するしかない。コストは発生するがテストを数多く試行し、その結果を統計的に分析することがテスト技術者のあるべき姿であろう。
プログラミングが創造的な仕事にあるのに対し、テストではプログラムを分解してバグを見つけることから、テストはプログラムを破壊する仕事であるといわれる。
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