「1デバイスあたり年額100円から」という低価格な通信料を掲げ、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークサービスである「SIGFOX」が京セラ経由でサービスインする。なぜここまでの低価格化が可能なのか。
京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)は、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークサービスである「SIGFOX」を2017年2月より順次展開する。「1デバイスあたり年額100円から」という低価格な通信料を掲げ、爆発的な増大が見込まれるIoTデバイスへの搭載を狙う。
このSIGFOXはフランスのSIGFOX S.Aが提供するLPWAネットワークであり、サブGHzの周波数帯を用いUNB(Ultra Narrow Band)とよばれる変調方式で通信を行う。大きな特長は「1デバイスあたり年1ドルから」という価格設定と「乾電池で数年間稼働」をうたう低消費電力性、それに「データ送信」に特化している点だ。既にフランスを含めた24カ国で運用が開始されており、日本は25カ国目となる。
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KCCSが日本国内で展開するSIGFOXサービスは、周波数帯にLoRaなどと同様に免許の不要な920Hz帯を用い、価格は1デバイス(回線)あたり年額100円からという設定にて提供する。920Hz帯の通信設備を展開する時間が必要となるため、サービススケジュールとしては、2017年2月に東京23区で提供開始し、2018年3月までには政令指定都市を含む全国主要都市でのサービス展開を予定している。
サービスにおいてKCCSはSIGFOX S.Aとの提携の元、ネットワーク構築とサービス/ソリューションプロバイダーの開拓を受け持ち、対応するモジュールやクラウドサービスはSIGFOX準拠の各社から提供される。
諸外国ではサービスインしていることもあって対応モジュールはRADIOCRAFTSやTD NEXTなどが既に提供を行っており、MICROCHIPなどからは開発キットも出荷されている。モジュールの国内販売について現時点で詳細は明らかになっていないが、通信価格にマッチした価格帯(1モジュールあたり2〜300円程度)になる見込みだ。
IoTに関する無線技術としては3G/LTEなどの携帯電話網やWi-Fi、Wi-SUN、Zigbee、Z-Wave、LoRa、NFCなど複数が存在し、速度や到達範囲、搭載機器の消費電力などはさまざまだ。SIGFOXは最大数十kmの到達範囲と乾電池で年単位の運用が可能な低消費電力性に大きな特長を持つが、一方方向の通信しかサポートしておらずその速度も低い。KCCSではSIGFOXの国内運用に際して「通信速度100bps」「上りのみ」を明記しており、データ収集用に特化したネットワークとして訴求する。
具体的な用途としてKCCS 代表取締役社長の黒瀬善仁氏はスマートメーターや農場の温度計などを挙げており、いずれもデータ量(通信頻度)の少ないセンサーを大量に配置することで価値を持つ用途に向けた訴求といえる。また、黒瀬氏は年額100円からという通信費用とチップレベルでは100円程度というデバイス費用の安さから、自転車用GPSなどへの搭載も有望だろうと述べる。
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