中小企業のためのIT活用のススメ(6)
データや情報がばらばらに点在する“昭和な職場”のIT活用ビフォー・アフター(1/2 ページ)
本格的な第4次産業革命の到来に向け、IoT活用への期待が非常に高まっている。この大きなビジネスチャンスをつかむべく、大企業を中心にさまざまな戦略、施策が打ち出されているが、果たして中小企業はどうすべきか? 第6回(最終回)では、これまでお届けしてきた内容を整理しながら、新しい時代の働き方や今後の方向性をまとめる。
連載「中小企業のためのIT活用のススメ」は、今回で最終回となります。これまでお届けしてきた過去5回の連載内容を整理しながら、“古くて新しい課題”である「仕事のIT化」について考えながら、新しい時代の働き方や今後の方向性をまとめたいと思います。
◎「製造業のIT化/デジタル化」関連記事 ~導入、事例、課題、メリット~ など
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1.ITとは、つかみどころのない生き物なのか……
本連載は、「第4次産業革命(インダストリー4.0)」という、随分と大きなお題から始まりました。確かに、IoT(Internet of Things)の技術が注目され、AI(人工知能)で仕事の仕方がガラリと変わるのではないかと、さまざまな未来予想や期待感が報道されており話題に事欠きません。しかし、中小企業の一般社員の皆さんの多くが「うちの会社は、今それどころじゃないな~」という意見をお持ちではないでしょうか。今回はあらためて、その辺りを一通り振り返っていきます。
まず連載第1回で、仕事の電算化(IT化)に関する「あるある課題リスト」を紹介しました。このリストにある項目を精査したことで、今の自分たちの働き方はどうもムダが多いと痛感し、少しでもITで合理化できないだろうか? と気付きのあった方も多いと思います。
また、設計業務の3Dデータ活用については、社内のモノづくりの効率化の目的だけでなく、顧客を満足させる付加価値にもなりそうだという営業現場でのAR(拡張現実)活用シーンの話題がありました(連載第4回)。また、紙のままの図面や手書き書類の問題はどうでしたか? 限られた人数で、これまで以上に顧客の満足度を上げていくのであれば、デジタルデータを積極的に活用し、ペーパーレスを実践した方がビジネスを有利に進められるかもしれません(連載第3回)。
しかし、「いざIT化だ!」といって掛け声よろしく推進したとしても、仕事の流れや手順が“昭和のまま”では、せっかく高機能なITシステムであっても、十分な性能を発揮してくれません。それどころか、以前よりも仕事の手間が2倍、3倍となってしまい、「こんな面倒なITシステムなんて導入しない方がよかった……」となってしまいます。
経営視点の話題もありました。IT活用は、会社経営のゴールと結び付けなければ、IT導入担当者の個人的な自己満足に終わってしまいます。会社の経営も一向に改善されません。それと同時に、ITを利用するのは職場の皆さんですから、その人たちに納得してもらわなければなりません。“思い込み導入”では、現場の利用者からのダメ出し祭りの現実が待ち受けているわけです(連載第5回)。
第4次産業革命とは、ITのデジタルパワーを最大限に活用した戦略的な大変革だと、世間では盛り上がっています。しかし、その割にITは“何か不思議な生き物”のようで、なかなかつかみどころがないようにも見えるかもしれません。
いずれにせよ、ITシステムの導入に際しては、まず「目的」をはっきりとさせなければなりません。IT導入(手段)そのものを、目的と考えている人は意外と少なくありません。エンドユーザー目線と経営戦略の両面での評価指標を、“鳥の目”で見ることが大切です(連載第2回)。そして、日々の成果を着実に確認しながら、会社を挙げて皆が同じベクトルで前に進むことです。特に、中小企業であれば、大企業よりもフットワークの良さを生かし、社長さんと社員さんが一体化した“全員活動”として取り組むスタンスになります。
2.ばらばらな状態を1つにまとめる
このような、IT活用のよもやま話をこれまで連載してきましたが、仕事のIT化の基本は、ばらばらに点在しているデータや情報をできる限り1つにまとめることだと思います。
突然ですが、図1の左図にある「私」のことを自分だと思ってみてください。「私」は設計部門内で仕事をしています。「私」は、電子メールやワープロソフトでの文書作成に始まり、さまざまなコンピュータシステムやITアプリを駆使して成果物を新規に作成したり、過去の資料を参考にしたりして毎日の仕事をこなしています。CADツールで作成した図面や3Dモデル、技術文書、キャビネットに保管される過去の紙図面、紙の手書き資料など、さまざまなデータや情報が、「私」の周りに点在しているわけです。
ところが困ったことに、周囲の同僚や他部署のメンバーからの設計データに関する問い合わせや資料請求が減りません。電話やメールで連絡が来るたびに、依頼のあった書類やデータを探さなければなりません。「今日中にお願いネ!」などと頼りにされてしまうと後回しにできず、結果的に日中の業務が資料探しで終わってしまいます。そのため、「私」が本来すべき自分の業務に着手できるのは夕方からとなり、残業でこなすことも珍しくありません。
本来であれば、図1の右側のように、「私」も他の部門のメンバーと同格に位置付けられ、他のメンバーは自分で必要な情報にアクセスして入手すべきです。そのためには、ばらばらの情報を1つの器にまとめ、関係者の誰もがいつでも自分にとって必要な情報を、いちいち「私」に聞くことなく、タイムリーに引き出せる仕組み(環境)が必要です。
このような考え方は、仕事のIT化の定石の1つです。手作業の仕事とIT活用による効率的な処理がバランス良く組み合わさり、自分たちの仕事が最適に流れるような仕組みです。
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中小企業のためのIT活用のススメ
本格的な第4次産業革命(インダストリー4.0時代)の到来を前に、IoT活用への期待が非常に高まっている。この大きなビジネスチャンスをつかむべく、大企業を中心にさまざまな戦略、施策を打ち出しているが、中小企業はどうすべきか? 大変革の潮流に飲み込まれないために何ができるのか? そのヒントを提示する。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デジタル化][デジタル変革][DX][電子化][データ活用][IT活用]
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