中小企業のためのIT活用のススメ(6)
データや情報がばらばらに点在する“昭和な職場”のIT活用ビフォー・アフター(2/2 ページ)
3.自分たちの「バリューロードマップ」を描いておこう!
さて、本連載をまとめていくに当たって、IT活用の考え方を多面的に整理する早見表の書き方を紹介します。図2がそのイメージです。
通常、A3サイズや模造紙ほどの大きさの紙を用い、IT活用を推進する関係者が集まり、終日や半日ほど時間をかけて作成していきます。前回(連載第5回)、「スイムレーン」という手法で、業務プロセスを描き、現場課題をあぶり出すという話をしましたが、あの活動の延長線上の作業として、この早見表を完成させるとよいでしょう。
この早見表は「バリューロードマップ」と呼びます。従来の煩雑な仕事をIT活用で賢くこなし、会社の経営改革と職場の改善を狙うための早見表です。ITのうれしさ(バリュー)と、それを実践するための因果関係や展開順序(ロードマップ)を表現したものです。さまざまな部署の関係者の思いが凝縮された、自分たちの新しい働き方を記した「未来予想図」です。
バリューロードマップに埋めるアイテムは、大きく10種類です。
(1)会社の経営方針
(2)自分たちの改革のビジョン
(3)会社のロゴや企業や製品イメージ画像
(4)向こう3カ年の改革キーワード
(5)業務上の取り組み
(6)IT活用のポイントと克服すべき課題
(7)スイムレーンと日頃の問題点
(8)他社でうまくいっているIT活用事例
(9)評価指標(KPI)
(10)自分たちの強み(コアコンピタンス)
この(1)~(10)のアイテムは、ITを活用して職場の働き方を見直すために、経営の視点や自分たちのビジョンを上位方針と位置付けながら、他社のIT活用事例も一覧しつつ、何を評価指標に、どんな問題点をどのような視点で課題解決するかといったことがオールインワンで一覧できる早見表です。
また、バリューロードマップは、課題を克服するというマイナスからの解決思考ではなく、“自分たちの強みは何か”といったプラス思考なメッセージで下支えすることも大きなポイントです。全体的に、ポジティブ思考のバリューロードマップに仕上げておくことが大切です。なお、(1)~(10)のアイテムの大部分は、社内のメンバーで議論しながら定義できますが、(8)の他社事例については、付き合いのあるITソリューション企業などに尋ねてみてください。他社の事例は、外部企業の経験豊富な知識や客観的な知恵を大いに活用し、自分たちでは気付かなかったさまざまなIT活用事例を参考にしてまとめてください。
図2はサンプルです。皆さんの会社なりの整理の仕方があると思いますので、いろいろと工夫してみてください。ただし、IT活用というテーマだからといって、ITの機能論(手段)ばかりを列挙するようなことのないように、常にビジネス戦略や業務プロセス視点でバランスよく構成することを心掛けてください。
4.おわりに
さて、最後になりますが、昨今の第4次産業革命の潮流の中で、日常の職場で作成するデータや情報が、今後どのようにITシステムとともに進化していくかについては、著者は日頃図3のようなイメージを持っています。特に、重要視しているのは、「つくる」「ためる」「つなぐ」「つかう」の4つの分類と流れです。
例えば、ワープロソフトやCADツールを用い、モノづくりの情報を「つくる」、それをしっかりと1つのデータベースに集約して「ためる」。そして、たまってきたデータは、さまざまなフィールドで「つかう」ことになります。
つくってためた設計3Dデータは、営業・販売、工場やフィールドサービスといった現場でつかうことになります。ただし、ためたデータをつかうためには、両者を「つなぐ」必要があります。つなぐためには、IoTの技術が欠かせません。
CADでデータつくってPDMシステムでためる。ためたデータは、IoTでつないで広くつかってもらう。そして、つかってもらっている状況を、再び自分たちにフィードバックして、将来のより良い製品やサービス作りに役立てる。
このように、価値のある市場データが繰り返しインプットされる有機的な循環ループが回ってくれば、あなたの企業のIT活用は大成功といえるでしょう。
本連載を職場の電算化(IT化)を見直すきっかけとして、この「つくる」+「ためる」、そしてそれらを「つかう」ために「つなぐ」――。この4つを意識してみてください。この4つの視点のIT活用が、会社全体の戦略的な強みになってくれるはずです。
これで本連載はいったん終わりますが、これからも中小企業の皆さんのIT活用を応援していきたいと思います。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 (連載完)
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中小企業のためのIT活用のススメ
本格的な第4次産業革命(インダストリー4.0時代)の到来を前に、IoT活用への期待が非常に高まっている。この大きなビジネスチャンスをつかむべく、大企業を中心にさまざまな戦略、施策を打ち出しているが、中小企業はどうすべきか? 大変革の潮流に飲み込まれないために何ができるのか? そのヒントを提示する。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デジタル化][デジタル変革][DX][電子化][データ活用][IT活用]
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