中小企業のためのIT活用のススメ(3)
CADデータがあるのに紙図面が「正」――実録、ここが変だよ“昭和なIT活用”(1/2 ページ)
本格的な第4次産業革命の到来に向け、IoT活用への期待が非常に高まっている。この大きなビジネスチャンスをつかむべく、大企業を中心にさまざまな戦略、施策が打ち出されているが、果たして中小企業はどうすべきか? 第3回では、インダストリー4.0的働き方のイメージや設計図面のIT化の後退現象について問題提起する。これを機会に自社のIT活用の状況を再点検してみよう。
連載「中小企業のためのIT活用のススメ」では、インダストリー4.0時代に求められる“中小企業のIT活用”をテーマに、さまざまな話題を取り上げています。連載第1回では、業務全体を通してありがちな課題を皆さんと共有し、第2回では、経営の視点(鳥の目)で目標設定することの重要性について解説しました。
そして、今回お届けする第3回では、上空から地上に降り立ちながら、4.0的働き方のイメージや設計図面のIT化の後退現象について、問題を提起したいと思います。
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1.あなたの働き方は4.0? それとも3.0?
台風などの自然災害や交通機関のマヒといった影響で、大切な仕事やアポイントが中止になってしまった経験はないでしょうか? 実際、筆者の知人であるAさんはこんな体験をしたそうです。
Aさんは、愛知県を拠点にしている小さな受託設計会社のエンジニアです。ある日の夕方、大阪の取引先であるX社のBさんとCさんを訪問し、3人そろって設計仕様の会議を行う予定でした。
ところが、朝から大型台風が中部地区を直撃。Aさんは名古屋から大阪への移動を断念せざるを得ませんでした。一方、X社のBさんも広島からの新幹線が大幅に遅延し、どう頑張っても大阪での会議には間に合わないことが分かりました。
“昭和な3.0時代の働き方”であれば、会議は当然キャンセルだったはずです。しかし、Aさんは「予定通り、3人で会議をすることができた」といいます。なぜでしょうか?
そのカラクリは次の通りです。
まず、X社にいたCさんが、大阪の会議室からPCを使ってWeb会議システムを起動し、AさんとBさんをバーチャルなWeb会議に招集しました。
新幹線車内のBさんは、自分のスマートフォンを使ってCさんの会議招集を自動キャッチ。Aさんの方は、名古屋が大雨警報のため、早目に帰宅し自宅のネット環境からWeb会議に参加しました。これで3人は、時間通りに会議をスタートさせることができたのです。
ネット回線があれば、Web会議システムでいつでもどこでも会議を進めることができます。途中、Cさんが大阪で3D CADを起動して新規部品の3D形状を開き、その様子をリアルタイムに新幹線のBさんと自宅のAさんに共有することも可能です。3人の会話もクリアな音声でやりとりされ、普段通りにコミュニケーションできます。
もちろん、それぞれの環境によって何らかの制約があるでしょうから、物理的な会議のような細かいニュアンスのすり合わせは難しかったかもしれません。しかし、逆にそうした制約条件があることで、会議が効率的に進行する(ムダのない会議が実現できる)といった効能もあります。Aさんのケースの場合、当初予定の半分の時間で会議が終了したそうです。また、曖昧だった点については、自動録画されたWeb会議の映像を見直すことで振り返ることも可能です。
Aさんの体験について、皆さんはどう感じましたか? 実はこの3人の行動は、中小企業であっても“インダストリー4.0”な現代であれば、非常に手軽に実現できる働き方改革の典型的な例です。
2.設計データ管理が形骸化していないか?
さて、前述のエピソードで登場した3人が共有していた設計図面について、もう少し論点を掘り下げておきます。
今、ほとんどの図面が手描きではなく、CADツールで作成されています。中小企業でも、ごく当たり前に、製品の形状はコンピュータ上で描きます。紙の製図用紙に手作業で平面図や側面図を描くのではなく、PC上で3Dモデルから三面図を生成します。
日本では、平成の時代に入ったころに、CADツールを用いた3次元設計手法として、多くのエンジニアが一生懸命その手法を学び実践しました。筆者もそのエンジニアの1人でした。従来の三面図ありきの製図法に比べ、いきなり自由空間上に3Dモデルを作成する様は大きな衝撃でした。
確かに、面倒なCAD操作もたくさんあり、大変な苦労もありました。しかし、手作業の紙図面を管理するよりも、CADツールのデジタル図面を管理した方が、開発リードタイムを大幅に短縮できるため、当時、筆者は大きな手応えを感じていました。また中小企業であっても、図面のIT化に対応できるようにと、部内の設計ルールを見直したり、CAD操作手順書を新規に作成したりして、設計IT改革にも取り組んでいました。
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中小企業のためのIT活用のススメ
本格的な第4次産業革命(インダストリー4.0時代)の到来を前に、IoT活用への期待が非常に高まっている。この大きなビジネスチャンスをつかむべく、大企業を中心にさまざまな戦略、施策を打ち出しているが、中小企業はどうすべきか? 大変革の潮流に飲み込まれないために何ができるのか? そのヒントを提示する。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デジタル化][デジタル変革][DX][電子化][データ活用][IT活用]
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