産業社会におけるデジタル化の価値(1)
従来の常識を覆し、限界点を突破する「デジタル技術」の可能性(1/3 ページ)
「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。第1回は、今までの限界を突破し、企業組織の活動機能をあるべき姿に近づけていくことができるデジタル技術の可能性について取り上げる。
こんにちは、志田穣と申します。
近年、インダストリー4.0をはじめ、IoT(Internet of Things)や人工知能などが“現在の産業社会を変革するもの”として大きく取り上げられていますが、その中核を担うのが「デジタル技術(デジタル化)」だということをご存じでしょうか。
われわれの生活の中で、コンピューティング(コンピュータを用いた活動全般)が日常的に行われるようになって久しいですが、最近になって一体何が変わってきたのでしょうか? そして、その変化が社会にどのようなことをもたらそうとしているのでしょうか? 本連載では「産業社会におけるデジタル化の価値」をテーマに、こうした疑問について詳しく解説していきます。
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組織を機能させる上で、人間はいかに万能に近づけるか
人間の行動は、「認識」⇒「判断(思考)」⇒「行動」で成り立っているといわれています。人間1人で考えれば、知覚や聴覚をもって周囲の状況を認識して、その情報を脳で総合的に判断し、肉体を使って行動に移すわけですが(図1)、単体で考えても人間は非常に“不完全な存在”といえます。
例えば、人間は非常に遠くの物を十分に視覚で判断できません。ましてや夜になり辺りが非常に暗ければ、視覚で何かを捉えることは非常に難しいでしょう。また嗅覚においても人間は、多くの動物と比べてはるかに劣っているといわれています。
判断についてはどうでしょうか。例えば「猛獣が近づいて来る!」といった単純な状況に対しては、「一目散に逃げ出す」といった判断ができます。多少複雑な状況においても、これまでの経験に基づいて判断を下すことが可能です。では、全く新しい概念や事象に対してはどうでしょうか? 判断が過去の経験に基づいてなされる以上、正しい判断を下すことは非常に困難といえるでしょう。
そして行動となると、人間は他の動物と比べて能力は劣りますが、さまざまな道具を開発し、使用することで優位性を保っています。その分、人間は道具をどう使うかを正しく知っておかなければなりません。
さて、今われわれは産業社会の中に暮らしていて、その恩恵を享受し、またその弊害を被りながら生きている人がほとんどです。従って「個人」だけではなく、「組織」の文脈で捉えなければなりません(図2)。
人間単体は、神経によって体の皮膚が感じたことを認識できますが、組織にはそのような生体的な機構はありません。そのため仕組みやシステムを利用して、細部で行われていることを捉え、それを意思決定する主体(会社なら経営陣)に伝達する必要があります。しかし、これが簡単でないことは会社組織に属する方ならよくご存じでしょう。営業、研究開発、生産、アフターサービスなど、これら個々の現場で何が行われていて、何が課題となっているか、経営陣は正しく把握できているでしょうか? 組織における現状認識は一筋縄ではいかない、永遠の課題なのです。
では仮に、組織における各所の状況が認識できたとして、経営陣は正しい判断を行うことができるでしょうか? 個人同様、新しい概念や事象に対しては判断が困難であることに加え、組織の状況は個人に比べて桁違いに情報量が多く、複雑です。残念ながら人間には、複雑性を有する膨大な情報を真正面から受け止めて、的確に判断する能力はありません。ここではそのような複雑性を、いかに人間の能力のレベルにまで落とし込むか、意味のある知見にかみ砕くことができるかがポイントになります。
組織の行動について現代の産業では、人間はハードウェア/ソフトウェアを含めたツールに大きく依存しています。このことは個人と同様ですが、その数量と多様性は桁違いです。そのツール群を、経営判断に合わせてフル稼働できているでしょうか? 一方ツールを使うのは人間ですから、組織各所の行動を、経営陣の判断といかに合致させるかということも課題になりますが、これはどちらかというと「組織論」の話になるので、ここでは割愛します。
これまでの内容をまとめると、産業社会の課題とは、常に「認識」⇒「判断」⇒「行動」における組織の不完全性、能力の欠如をいかに埋め合わせるかということにつながってきます。
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産業社会におけるデジタル化の価値
「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。
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