ガートナー 国内ビッグデータへの取り組み
「幻滅期」に突入したビッグデータ、しかし国内企業の取り組みは継続
ガートナー ジャパンは、従業員数500人以上のユーザー企業のITリーダーを対象に、ビッグデータへの取り組みに関する調査を実施し、その結果を発表した。
ガートナー ジャパンは2016年10月に、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」を発表した。この中で「ビッグデータ」はハイプ・サイクルのピークを越えて「幻滅期」の底へと向かう状況にあり、ビッグデータへの期待は小さくなり、取り組みを進める企業が若干減少するだろうと予測していた。
しかし、別途、従業員数500人以上の国内ユーザー企業のITリーダーを対象に、ビッグデータへの取り組みに関する調査を実施したところ、67.2%(前年調査比1.6%増)の日本企業が、ビッグデータに向けた活動を既に進めていることが明らかとなった。
企業におけるビッグデータ活用の最終目的を達成するためには?
企業におけるビッグデータ活用の最終目的は、テクノロジーそのものを導入することでも、膨大なデータを集めることでもなく、売上拡大や顧客関係の改善といったビジネス上の成果を出すことにある。そして、この最終目的を達成するためには、解決すべき課題や改善すべきテーマを最初に特定することが必要となり、従来IT部門が取り組んできたようなゴールと方法論が比較的明白なプロジェクトとは大きく異なる。実際、ビッグデータの活用に取り組み始めた企業の中には、「何を分析すれば、ビジネス上の成果が生まれるのか?」について悩んでいるケースが多く見られるという。
同調査で、「ビジネス部門には、データ活用で解決できる課題や新しいアイデアが多く埋もれていると思うか」を聞いたところ、72.8%の企業が「はい」と回答。しかし、実際にビジネス部門との対話に着手し始めている企業は19%にすぎず、40%の企業は「1年以内に対話を始める」見込みであるとしている。
アナリストの視点
今回の調査結果を受け、ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデントの鈴木雅喜氏は次のようにコメントを寄せている。「ビッグデータへの期待値は以前と比べて落ち着いてきたものの、デジタル化やIoTに取り組んでいく上でビッグデータに関する活動が必要であることを企業が認識し、引き続き取り組んでいることが明らかとなった。また、1年先および3年先にビッグデータから得られる価値として、『過去の知見』よりも『将来の予測』『判断の自動化』『ビジネスプロセスの自動化』が大きくなると考える企業が多いことも分かった。データ活用の幅が3年以内に『将来の予測』『判断の自動化』『ビジネスプロセスの自動化』へと実際に広がっていくとは考えにくいものの、企業が目指す方向性は定まりつつあることが、今回の調査から明らかとなった」。
ビッグデータのコンセプトの下、「量」「速度」「複雑性」の面で分析可能なデータの幅が広がっているという。加えて、データの重要な活用方法として、いかに「将来の予測」を進めるか、いかにアルゴリズムを適用し「判断の自動化」や「ビジネスプロセスの自動化」を進めるかという点が、今後さらに重要になると、ガートナーは予測する。
また、鈴木氏は次のような見解を示している。「ガートナーでは、デジタルビジネスが進化する中で、今後、アルゴリズムビジネスが広がっていくとみている。アルゴリズムビジネスにおいては、データ分析の結果に基づいたアルゴリズム(パラメータから解を得るためのロジック)によって、『判断の自動化』と『ビジネスプロセスの自動化』を可能とし、新たなビジネス価値を生み出していく。今回の調査結果は、アルゴリズムビジネスへの期待値が既に高まっていることを示唆している。ガートナーは、ビッグデータへの期待値が調整局面にあるとみているが、今回の調査結果から、日本企業のビッグデータに向けた取り組みは引き続き、着実に進行しつつあることが明らかとなった。ユーザー企業は、デジタルビジネスやIoTのシナリオの中でビッグデータの意義を捉え、活動をさらに進めていくべきである。ビジネス部門との協業から課題やテーマを把握し、『過去の知見』のみではなく『将来の予測』『判断の自動化』『ビジネスプロセスの自動化』を進めることも視野に、アイデアの探索と試行を、デジタル化を見据えた企業戦略の下で進めることが重要だ」(鈴木氏)。
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