ガートナー IoT調査
国内企業はIoTに慎重な姿勢――期待と不安が入り交じった状況
ガートナー ジャパンは、日本企業のIoTへの取り組みに関する調査結果を発表した。その内容からIoTへの取り組みに対する国内企業の慎重な姿勢が浮き彫りとなった。こうした傾向は、矢野経済研究所が発表したビッグデータへの取り組み状況に関する調査結果からも見てとれる。
日本国内の「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」関連市場は、2020年に13兆円規模に成長するといわれている。このように大きなビジネスチャンスをもたらす可能性を秘めたIoT関連市場に対し、日本企業はどの程度取り組みを進めているのだろうか?
2016年4月26日、ガートナー ジャパンは日本企業のIoTへの取り組みに関する調査結果を発表。その内容から体制作りを急ぐベンダーとユーザー企業の間に温度差があることが分かったという。
「IoTの専門部署やグループができた」企業はどれくらい?
まずIoTについて、企業がどのように取り組んでいるのかを質問したところ、「IoTの専門部署やグループができた」と回答した割合が10.1%となり、IoTに関して具体的な推進体制を整備できている企業は全体のわずか10%程度にとどまることが判明した。
また、2015年の調査結果と比較してみると、2015年の調査時に「現在準備中(1年以内に実施)」としていたにもかかわらず、結果としてその大半がIoT関連の体制構築に至らなかったことが見てとれる(図1)。
こうした結果について、ガートナー ジャパンのリサーチ担当者は次のように述べている。「IoT推進体制の確立に関しては、2015年の調査結果である8.5%と比較して増加はしているものの、2015年の時点で1年以内に体制を確立する予定と回答した16.7%の大半の企業がそれを見送った状況といえる。IoTに期待する企業の割合は2015年とほぼ変わらないとみているが、取り組みを推進するきっかけや明確な目標をまだ捉え切れていない。2015年は海外ベンダーだけでなく、国内の大手システムインテグレーターやサービスプロバイダーなどがIoTの推進体制を確立し、それぞれのビジネスの機会を狙い始めたが、企業の慎重な態度が今後も続くようなことになれば、その成果を得られる時期については見直しを迫られるリスクがある」(ガートナー ジャパン)。
どこから始めてよいか分からないが40%
同時に行ったIoTに関する意識調査では、「社内の変革を推進する」「ITがよりビジネスに貢献できる」など、成果への期待に対する回答の割合が50%を超える結果となった。しかし、一方で「いまだにどこから手を付けてよいか分からない」とする回答も40%近くを占め、期待と現実的なアクションへの落とし込みに対する難しさが入り交じる現状が明らかになった(図2)。
「IoTに関しては、既に積極的に取り組んでいる企業もあるが、まだ一部に限られている。これは、IoTを実現するさまざまなテクノロジーがまだ未成熟であると同時に、ビジネスの制度やルールなどを変えていかなければならないという背景もある。そのため、企業は具体的な行動に移すことが難しく、足踏みする状況が継続しており、先行者からの明確な成果が出るまで何も手を付けられなくなる、というリスクに直面している。IoTは、これから先数年にわたる技術革新によってその効果が期待できるデジタルビジネスの中核的な領域であることを再認識し、他社の成果を待つのではなく、自ら起こすべきチャレンジであると理解することが重要である。まずは小さな仮説検証、概念実証を素早く行うこと、そして試行錯誤を続ける覚悟と体制が必要である。その意味でIoTは、現場からのボトムアップに期待するだけでなく、経営者自らがビジネスインパクトを研究/リードすべき重要なテーマである」(ガートナー ジャパン)。
データ活用でも消極的
なお、こうした日本企業の傾向は、ビッグデータへの取り組み状況にも共通している。2016年3月31日に矢野経済研究所が発表した「ビッグデータ市場に関する調査結果 2016」によると、ビッグデータを「業務に取り込み済み」が2.4%、「試験的に運用中」が1.7%という結果となり、かなり限定的な取り組みであることが分かっている(関連記事:国内企業におけるデータ利活用の意識はまだ低い)。
また少し前のデータになるが、2015年6月に公表された「2015年版ものづくり白書」によると、日本の製造業におけるIT/データの利活用は、世界の主要国の水準と比べて非常に低く、米国企業の90%以上がビッグデータを既に「利用している」と回答したのに対し、日本企業の70%以上が「聞いたことがない、よく知らない」「検討したが、利用していない」と回答。イノベーションにデータを活用しようという意識が低いことが示されている。
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