テクノブレーン AIセミナーレポート
人間を超えるセンシング能力をクルマに! デンソーが取り組むAIプロジェクト(1/3 ページ)
安心、安全なクルマ社会の実現を目指し、人工知能(AI)を活用した高度運転支援システム(ADAS)/自動運転の研究開発に取り組むデンソー。その動きを加速させる同社の「AI R&Dプロジェクト」の取り組みについて、デンソー 技術企画部 担当部長/デンソーアイティーラボラトリ CTOの岩崎弘利氏が紹介した。
テクノブレーンは2017年6月26日、“人工知能とビッグデータを活用することによって生まれる新しいビジネス”をテーマにしたセミナー「人工知能とビジネスとソフトウェア開発 ~データの有効活用と具体的事例~」を開催。その中で、デンソー 技術企画部 担当部長/デンソーアイティーラボラトリ CTOの岩崎弘利氏が登壇し、「デンソー AI R&D プロジェクト」と題して、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術の実用化を目指すデンソーの研究開発プロジェクトについて紹介した。
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自動車部品メーカー大手のデンソーでは、安心、安全なクルマ社会の実現を目指し、高度運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)/自動運転(AD:Auto Drive)の研究開発に取り組んでいる。
例えば自動運転に関しては、2020年に向けて、自動車専用道路における条件付き自動化の研究開発を進めており、自社開発したミリ波レーダーや画像センサーを用いたレーン内走行やレーンチェンジなどの実験を行っている。実際にテストコースでさまざまなシーンを想定した試験を繰り返したり、公道における実証実験を行ったりすることで、実用化に向けて日々技術を進化させている。また、情報通信技術や車車間/路車間通信(V2X:Vehicle to Everything)技術の研究開発なども積極的に行い、ドライバーに適切な情報を分かりやすく伝えるための開発も並行して進められている。
自動運転が実現された未来では、信号機がなくなり、車間の適切な制御により交通容量は1.7倍に向上、90%以上の渋滞が緩和されるという。また、V2X技術により、走行スピードも適切にコントロールされ、高速道路での渋滞も90%以上が解消されるようになる。そのころには、自動ブレーキシステムや自動駐車機能なども普及しており、安心、安全なクルマ社会が実現され、消費者行動もクルマの所有からシェアへと移り変わっている――。
「われわれは、こうした未来のクルマ社会を想像(妄想)しながら、日々技術開発に取り組んでいる」(岩崎氏)。
認知や判断にAI技術を活用し、安心、安全な自動運転の実現へ
デンソーでは、AI技術の実用化を加速させるため「AI R&Dプロジェクト」を立ち上げ、ADAS/AD分野と、IoT(モビリティー/ファクトリー)分野におけるAI技術の活用に関して、研究開発を進めている。「人工知能分野、特に機械学習の先進技術を製品開発に適用すべく、技術者を東京に集結し、外部との連携を含めた研究開発に取り組んでいる」と岩崎氏は述べる。
ADAS/AD分野に関し、AI R&Dプロジェクトでは「ドライバー(人間)の能力を超えるセンシングを目指す」という目標を掲げ、周辺センサーの情報に基づく「走行環境認識」およびそれと連動した「車両運動制御」、さまざまな情報を適切にドライバーに伝えるための「HMI(Human Machine Interface)」、V2Xや他のサービス/インフラとのやりとりといった自動車分野におけるIoTを実現する「情報通信」に関する研究開発に注力している。
自動運転の実現には、センサーで捉えたものを白線、歩行者、前方走行車、駐車車両といったように正しく認知(環境認識)し、レーンチェンジなどの軌道変更や横断歩道を渡るか渡らないかといった対象の行動を予測、判断(行動計画)して、適切な車両制御やHMIでの情報表示につなげる必要がある。「こうした認知や判断といった部分にAIの技術が活用される。人間であればいろいろな情報から前方車両の軌道や歩行者の意図の推定などを行い、適切にクルマを制御することが可能だが、コンピュータの場合、単純なカメラ画像だけで意思決定(歩行者やクルマがいる/いない以上の認識、判断)をするのは難しい。そういったものからどうやって認知、判断するか、それが技術開発のポイントである」と岩崎氏。
一方、モビリティーIoTに関しては、ICT基盤を中心とした「協調」「視覚化」「予測」「成長」の4つの価値提供を目標に掲げている。具体的なイメージの一例として、岩崎氏は「協調は、駐車場のシステムとクルマが連携してスムーズな車庫入れを実現すること。視覚化は、宅配トラックなどの運行管理や見える化による効率化。そして予測は、渋滞予測や周辺情報に基づいた最適ルートの提案。最後の成長については、購入後のソフトウェアアップデートによる機能追加が考えられる」と紹介した。
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