大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
「GbEのMarvell」より脱却なるか、Caviumの買収は理想的だが新CEOの手腕は不明(1/2 ページ)
ネットワークプロセッサに強みを持つMarvellが、同種企業であるCaviumの買収を発表した。製品も顧客も重複が少なく、ARMサーバ向けSoCなどで存在感を高めているCaviumのハイエンド製品はHPCやクラウドからの関心も高く理想的といえるが、買収後にうまく事業が回転するかは不透明だ。
そろそろエレクトロニクス業界のM&Aブームも去ったか、と思いきや2017年11月初頭にBroadcomがQualcommに1000億ドル規模の買収を持ちかけ、Qualcommがこれを拒否するといった騒ぎになっている。ただその一方では、MarvellがCaviumを買収することを発表しており、こちらは順調に進んでいるようだ。
「GbEといえばMarvell」という時代があった
MarvellとCaviumはいずれも積極的に情報を出す会社ではないのだが、まずはMarvellについて紹介する。MarvellことMarvell Technology Groupは1995年創業と比較的新しい会社である。創業者はSehat Sutardja氏(Photo01)で、2016年まではこのSutardja氏が最高経営責任者(CEO)を勤め、彼の奥さんであるWeili Dai氏が最高執行責任者(COO)を勤めていた。ちなみにMarvell Technology Groupの本社はバミューダ諸島に置かれており、米国でのオペレーションは子会社のMarvell Semiconductorが行っている。
Marvellは当初はHigh Speed PHYに強みを持つ会社であり、特に2000年ごろはギガビットイーサネットのPHYといえばMarvell、という時期が長く続いた。他にSATAのPHYやコントローラーなどもラインアップに加えていた。ただこれ一本槍では製品ポートフォリオとしての不安を感じたのだろう。その後にはARMベースのSoCに力を入れてゆく。
当初はホームルーターのような小規模ネットワーク向けプロセッサやPDA向けといった省電力製品からスタートしてゆき、途中IntelからXScale事業を買収したりしつつポートフォリオを拡充していった。ARMからARM v5のアーキテクチャライセンスを取得してFeroceonという独自のコアを開発したり、3Gモデムを開発したりと方向を模索しつつ、携帯電話向けのマーケットからは結局撤退し、製品展開をWi-Fiとイーサネットに絞り込むことになる。SATAに関してはコモディティ化してしまったこともあり、その代わりとしてSSD向けコントローラーに注力しており、こちらは現在でも有力な製品の1つとなっている。
さてそんなMarvellであるが、2013年ごろからネットワークプロセッサの分野へ積極的に進出している。例えば2013年10月に発表された「Xelerated AX and HX」は同社が2012年に買収したスウェーデン「Xelerated」の製品をベースにした、400Gbpsのルーティング性能を持つネットワークプロセッサである。
実はMarvellは2006年にEZChip(当時はまだLanOpticsの子会社だった)と協業を発表しており、Xeleratedの買収にもかかわらずこの協業は継続されていた。Xeleratedの製品はミドルレンジのルーターには十分でも、ハイエンド向けにはやや物足りないと思ったのだろうか?ただこの協業も、EZChipが2016年にMellanoxに買収されることで終わってしまった。
結局、同社はローエンド~ミドルレンジ向けのネットワークプロセッサに注力することになる。ここで助けになったのが、MoChi(Photo02)である。MoChiは2015年のISSCCで発表された、MCM上で複数のダイを接続する標準I/Fである。ベースは“AXI-like”なプロトコルで、Differentialで8Gbps/Lane以上の速度を持つ構成だが、同社はこのMoChiを標準装備したプロセッサブロックや周辺回路ブロックのダイを適当に組み合わせることで、複雑な用途に向けたSoCを、モノリシックな構成で構築するよりも安価かつ高速に作り上げられるというものだった。実際、同社はこのMoChiを利用して、「AP806」や「ARMADA A3700」をリリースしラインアップを増やしつつある。
そんなわけで2016年まではイーサネットのPHY(自動車向けも含む)や有線/Wi-Fiネットワーク向けソリューション、SSD向けコントローラーといったところが主な製品群で、あとはIoT向けMCUとかCATV向けモデムやプリンタ向けソリューションといったラインアップが用意されているという感じで、これを拡充してゆくという感じだった。
ところが同社は2016年4月に突如、経営陣の刷新を発表する(Marvell Technology Group Ltd. Announces Senior Leadership Transition)。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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