Intelが5G(第5世代移動通信)を含むセルラーネットワーク関連技術の開発ロードマップをアップデートした。
Intelは、セルラーベースバンドチップの開発ロードマップの詳細の一部を発表した。同社は、5G(第5世代移動通信)および高度なLTEチップ領域において競業するQualcommとの差を埋めることを狙う。
Intelによれば、同社の顧客は2018年中にも、CDMA(符号分割多元接続)とGbpsのダウンリンクに対応するよう強化されたベースバンドチップ「XMM 7650」を用いたシステムを出荷するようになると述べた。一方、「XMM 7660」は、4×4 MIMOを採用する「3GPP Release 14」をサポートし、データ転送速度は最大1.6Gbpsに達するという。XMM 7660は2019年半ば、製品に組み込まれる形で出荷されるようだ。
Intelは、Verizonが独自に策定した5G規格「Verizon 5GTF」を実装した専用シリコンを開発し、28GHz帯に対応できるようにしている。Intelによれば、2019年半ばに出荷されるシステムには「XMM 8060」が搭載されるとしている。同チップは、5G向け「XMM 8000」シリーズ初の製品で、「3GPP New Radio」をサポートするという。
XMM 8060はSA(スタンドアロン型)とNSA(非スタンドアロン型)の両モードの他、2G、3G、LTEに対応するという。また、異なるRFフロントエンドチップを用いることで、ミリ波だけでなく6GHz以下の帯域にも対応するようだ。
Intelは、XMM 8060のデータ転送速度や全ベースバンドの電力消費レベルについては明らかにしなかった。全体的には、同社はRFフロントエンドからバックエンドのホストプロセッサに至るまで、さまざまなセルラーネットワークのトップサプライヤーになることを狙うという。IntelのConnected Products Groupでゼネラルマネジャーを務めるChenwei Yan氏は「われわれは、Intelのベースバンド性能が、業界をリードするものだと強く確信している」と述べた。
Tirias Researchの主席アナリストとして市場を観測するJim McGregor氏によると、今回Intelが更新した開発ロードマップは、Qualcommに注がれている期待に匹敵する可能性はあるものの、Qualcommをしのぐものではなかったという。
McGregor氏は「最初のテスト用モデムとデバイスをリリースするのはQualcommになるだろう。とはいえ、今後何らかの問題が露呈していく可能性はある。ライセンスバンドあるいはアンライセンスバンドのサポートや、キャリアアグリゲーションに関する詳細は、どのメーカーからも聞き出すのが難しいデリケートな情報の1つである」と述べた。
AppleはQualcommとの法廷係争が続く中、「iPhone」のLTEベースバンドチップにIntel製を採用し始めた。今後、全てのLTEベースバンドチップをIntel製に移行することを検討しているともいわれている。
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