アンシスとの提携、フラスタム買収の真意
PTCはなぜ設計プロセスにおけるシミュレーション技術の活用に注力するのか(2/3 ページ)
AIベースのジェネレーティブデザイン技術がいよいよ「Creo」に
そして、「反復」の前段階に位置し、形状を作り出す「生成」において革新をもたらすのが、先日買収したフラスタムのジェネレーティブデザイン技術である。
人工知能(AI)を用いて設計オプションを生成するというフラスタムのジェネレーティブデザイン技術(フラスタムは「GENERATE」というジェネレーティブデザインソフトウェアを手掛けている)が、今後数年かけてCreoに完全統合されるという。「おそらく、2020年発表予定の『Creo 7.0』の中にフラスタムの技術の一部が組み込まれることになるだろう。その先3~5年をめどに、数回のリリースを経ながら完全統合を進めていく」とダーティン氏は説明する。
フラスタムのジェネレーティブデザイン技術は、設計者が形状の最大領域や条件、要件を設定するだけで、AIが最適形状を提案してくれる。詳細は不明だが、以前オートデスクが発表した“必要な条件や目的、機能などを定義してコンピュータが形状を導き出す”「Autodesk Generative Design」の形状合成機能と非常に近いコンセプトだと推測される(関連記事:ジェネレーティブデザインの真打、「形状合成」が設計の常識を覆す)。余談だが、フラスタムの創業者は、かつてオートデスクの研究開発部門「Autodesk Research」でシニア オプティマイゼーション エンジニアを務め、エアバスの2050年コンセプト旅客機の最適化にも携わった人物として知られる。
説明会では、AI駆動のジェネレーティブデザインとして、フラスタムの技術の一部を紹介。形状の最大領域と各種条件、要件を指定して鋳造用のモデルを生成する様子や付加製造(アディティブマニュファクチャリング)向けに形状を導き出す様子などを披露し、コンピューティングパワーを用いることで、設計工数の削減、軽量化、製造時間の短縮といったさまざまなニーズが達成できるようになり、従来のエンジニアリングが大きく変化することを示した。
いわゆる形状最適化などに用いられるツールが出力する形式はポリゴンメッシュであることが多いが、フラスタムのジェネレーティブデザイン技術によって導き出された形状は、「Creoの自由曲面機能を使って表現される予定だ」(同社)という。そのため、フラスタムのジェネレーティブデザインによって得られた形状を、そのままCAD上で修正したり、あるいはそのままCreo Simulation Liveでリアルタイムに解析を行ったり、といったサイクルをCreoという1つのツールの中で高速に回すことが可能となる。
ここで1つ気になるのが「Creo 5.0」で発表されたVR&Dの技術をベースとしたトポロジー最適化機能の存在だ(関連記事:トポロジー最適化やCFDが完全統合された「Creo 5.0」)。これについてダーティン氏は「トポロジー最適化は形状生成のレベル1と位置付けることができる。軽量化や材料削減といった設計ニーズにおける当面の“解”として、現状のVR&Dのトポロジー最適化ソリューションは引き続き活用されるだろう。ただし、今後フラスタムのテクノロジーが複数回のリリースの中でCreoに統合されていくにつれて、VR&Dのトポロジー最適化ソリューションは、フラスタムのジェネレーティブデザイン技術に置き換わることになる」と現在の考えを示した。
いずれにせよ、Creo上でジェネレーティブデザインによる形状最適化/形状合成と、その導き出された形状の機能性や品質の検証をシームレスかつリアルタイムに行えるようになれば、設計者の業務効率は飛躍的に向上することだろう。
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