業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る(2)
「SOLIDWORKS」を6つの視点で徹底評価する(1/2 ページ)
「機能性」「コスト性」「操作性」「連携性」「効率性」「運用性」の6つのポイントでレーダーチャートを作成し、3D CAD製品を評価する連載。今回は、ミッドレンジ3D CADソフトとして製造業などで幅広く活用されている「SOLIDWORKS」を取り上げます。
前回「3D CAD選びで失敗しないために知っておきたい“6つ”のポイント」では、3D CAD活用のメリットと、本連載で使用するレーダーチャートについて説明しました。
今回からいよいよ実際に3D CADソフトを分析して、その特長や評価ポイントを紹介します。まず取り上げるのは、ミッドレンジ3D CADソフトとして製造業などで幅広く活用されている「SOLIDWORKS(ソリッドワークス)」です。
職業柄、現在複数の3D CADを使用している筆者ですが、実は最初に本格的に勉強した3D CADがSOLIDWORKSでした。それまで2D CADを使ってきた筆者にとって、「3D CADって楽しい!」と感じさせてくれた思い出深い製品でもあります。
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SOLIDWORKSとは?
SOLIDWORKSは、1995年に初の“Windows完全準拠3D CAD”として登場し、1997年にハイエンド3D CAD「CATIA(キャティア)」を手掛けるフランスのDassault Systemes(ダッソー・システムズ)に買収され、現在に至ります。機械設計用の3D CADとして、コンシューマー製品をはじめ、産業設備や医療機器、建築/プラントなどさまざまな業界で使用されており、ユーザー数も全世界で約560万人(2018年10月時点)いるといわれており、年々その数を増やしています。
注目される理由の1つとして、年に1度のバージョンアップがあります。毎年ユーザーの声を反映した機能強化がなされ、より使いやすく、より高機能になっていくSOLIDWORKSの進化に満足しているユーザーも多いのではないでしょうか。ちなみに、2018年11月には最新版の「SOLIDWORKS 2019」が登場。新バージョンの特長などについて詳しく知りたい方は「設計・製造プロセスにおける情報伝達性を最大限に高める『SOLIDWORKS 2019』」を併せてご覧ください。
いざ、SOLIDWORKSを分析!
それでは、ここから前回紹介した6つのポイントに合わせてSOLIDWORKSの特長を細かくチェックしてみましょう。
前回紹介した6つのポイントとは、
- 機能性
- コスト性
- 操作性
- 連携性
- 効率性
- 運用性
でしたね。そして、1.機能性の部分をさらに細かく分割して
(1)モデリング(曲面以外)
(2)モデリング(曲面)
(3)アセンブリ
(4)図面
(5)検査
(6)変更・修正
のレーダーチャートを作成しました。
まずは、1.機能性と3.操作性の2つについてですが、一言でいうとSOLIDWORKSは「オールマイティーで使いやすい!」です。3D CADは一般的に「スケッチ」という2Dの輪郭を平面に作成して、それを「フィーチャー」という機能で立体化します。そのコマンド1つ1つで細かい設定ができるようになっており、設計者のイメージを形にすることが可能です。
例えば、スケッチを一定方向に押し出して立体化する場合でも、押し出し開始位置を変更できたり、距離入力や貫通、面指定などで終了位置を決めることができたりと、さまざまな設計場面に対応しています。
角に丸みを付ける「フィレット」機能も多くのオプションが用意されており、設計者を助けてくれます。各コマンドへのアクセスもマウスの右クリックやマウスジェスチャー、ショートカットキーの設定ができるため、素早くアクセスできます。
次にモデリングした部品と部品を組み立てる「アセンブリ」機能について説明します。標準的な位置合わせ機能の他に、カム合致やギア合致といった機械設計などの専門分野にも対応しています。部品同士の干渉チェックや動きなども部品をドラッグすることで簡単に確認でき、衝突で停止させたり、制限を付けたりなど、細かい動きの確認が可能です。
モデリング、アセンブリしたモデルを2D図面化する機能についても、日本のJIS規格に対応しているのはもちろん、従来2D CADで図面を作成していた人でも、違和感なく、よりスムーズに図面を仕上げることができます。
モデルを作成したら寸法や質量、干渉確認などを行う必要がありますが、その機能も豊富で細かいところまで調べられるようになっています。筆者のお気に入りは、抜き勾配や曲率など、マウスを面の上に乗せると細かい数字が出てきて教えてくれる点です。強いて要望したいのは、検査結果の色の調整を任意で行いたいという点です。例えば、Rが10以下のところを赤色にしたり、抜き勾配が3~5度の所だけを緑色にしたりなどできれば、設計の後工程である加工検討などに役立ちます。穴の大きさの色分けなどもあるとうれしいですね。
その他にもSOLIDWORKSの検査機能には「Costing」という機能があり、加工コストの検討もできるようになっています。切削加工する場合のコスト、板金加工する場合のコストなど、設計者がコストを意識した設計をする際に、非常に便利な機能になります。
検査して、修正する必要のある箇所が出てきた場合は、作業履歴が保存されているため、修正すべき箇所を変更することで他の部位もリンクし、連動して修正されます。また、リンクさせずにダイレクトに面を伸ばしたり、縮めたりする機能もあるため、変更したい面を選択してダイレクトに感覚的に修正することも可能です。そして、修正した3Dモデルは、アセンブリ、図面とリンクされており、自動で更新されるため、設計変更の作業がスムーズに行えます。2D設計とは異なり、「正面図は修正したけど、右側面図を直し忘れたっ!!」といった修正忘れは起きません。さらに、便利な機能として形状修正を「Excel」と連携して行える「設計テーブル」という機能や関数および変数を利用した修正、複数のモデルやアセンブリを1つのファイルに登録できる「コンフィギュレーション」機能などがあり、修正を素早く簡単に行い、管理できる機能も搭載されています。
2.コスト性についてですが、SOLIDWORKSは、「Standard」「Professional」「Premium」の3種類のパッケージに分かれていて、Standardで約100万円(税込み)、Premiumで約170万円(同)となっており、3D CADの中では“ミッドレンジ”と呼ばれ、3D CADの中では中間の価格帯となっています。最新バージョンや最新サービスパックなどを利用するためのサブスクリプションサービス(年間保守契約)がStandardで約20万円となっており、一般的な価格帯といえます。ライセンス形態もスタンドアロン、ネットワークライセンスから選べるようになっています。ミッドレンジではありますが、年々機能がアップしており、ハイエンド3D CADの機能に近づいてきている印象です。
4.連携性は、多くのアドインソフトが用意されているため、購入した後から足りないと感じる部分を補うことができます。SOLIDWORKSには、板金設計や金型設計などができる専用機能が始めから備わっていますが、さらに強化する連携ソフトが用意されています。
SOLIDWORKSの環境にアドインすることで、使い慣れた操作画面のまま専門性の高い作業を行えるのは非常に便利です。最近では電気設計と連携できる「SOLIDWORKS Electrical」も注目です。他の3D CADで作成したデータも多くの種類を読み込むことができ、中間フォーマットでの出力も可能なため、連携性が優れています。「カーネル」と呼ばれる3D CADの核となる部分は「Parasolid(パラソリッド)」という多くの3D CADで使用されているものを使用しているため、データ互換性も良いです。
5.効率性は、処理能力や応答時間のことを指しますが、部品点数が多くデータ量の多い大規模なアセンブリデータを開く際に専用の機能あり、素早く開き、確認することが可能ですし、ハードウェアの進化も相まって、処理能力も年々強化され、パフォーマンスが向上しています。また、3.操作性のところでも説明しましたが、右クリック、ショートカットキー、マウスジェスチャーなど素早くコマンドにアクセス可能で、作業効率も上げることができます。さらに、SOLIDWORKSユーザーでも意外と知らない人も多い便利機能として「タスクスケジューラ」というものがあります。あらかじめ、ファイルのインポートやエクスポート、図面作成、ファイルの印刷などの実行時間を指定しておくと、自動で実行してくれるため、夜間などのピーク時間外でコンピュータリソースを有効活用できます。
6.運用性に関しては、世界中に多くのユーザーがおり、公式のユーザー向けサービス「MySolidWorks」や書籍、ネット上に多くの情報があるため、導入した後の学習などに困ることはありません。トレーニングなども全国各地で開催されています。
データ管理もPDM機能を追加することで可能で、運用するための機能もきちんと付いています。また、SOLIDWORKSで作成した3Dモデルなどを他の人が確認できるように、無償のビュワー「eDrawings」が用意されており、PCだけでなく、「iPad」などのタブレット端末やスマートフォンでも3Dデータを確認することが可能で、社内/社外の人とのコミュニケーションに活用できます。
その他、組み立て性など、生産性を突き詰めていく場合は「Composer」というソフトと連携して使うことが可能ですし、SOLIDWORKSは3D形状に直接寸法を付加するMBDの機能もあり、それを3D PDF化することも可能です。さらに、「Inspection」というアドインソフトを搭載することで検査レポートをスムーズに作成できます。
加えて、プレゼンテーション向けに製品のリアルな画像を用意する際は「Visualize」というレンダリングソフトにより、高品質なコンテンツを制作できます。
このようにSOLIDWORKSは、製品設計だけではなく、構想から設計、生産、検査といったモノづくりの一連の流れを全てサポートしてくれるため、運用性に優れているといえるでしょう。
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業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る
3D CADソフトの選定を行う際、皆さんはどのような基準で評価を行っているだろうか。本連載では、3D CADをどのようなポイントで選べばよいか? さまざまな3D CADソフトや機能を紹介しながら、レーダーチャートでその特性や機能性を評価する。
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