3D CADソフトの選定を行う際、皆さんはどのような基準で評価を行っているだろうか。本連載では、3D CADをどのようなポイントで選べばよいか? さまざまな3D CADソフトや機能を紹介しながら、レーダーチャートでその特性や機能性を評価する。連載第1回では、3D CAD活用のメリットをおさらいすると同時に、3D CADソフトを評価する上で基準となる6つのポイントを取り上げる。
皆さん、はじめまして! 小原照記(おばらてるき)と申します。普段は岩手県の「いわてデジタルエンジニア育成センター」という施設で3D CADを中核とした、3次元モノづくりの人材育成と“企業さんのお困りごと”を聞いて支援する仕事をしています。当センターではいろいろな3D CADを保有しており、学生や企業の方たち向けに講習会を開催したり、3Dプリンタでの試作や3Dスキャナーを使用しての検査やリバースエンジニアリングなどの受託を行ったりしています。
そんな筆者が今回、3D CADの機能や選び方、ソフトの紹介などについて書かせていただくことになりました。筆者が普段、いろいろな企業さんと付き合う中で聞こえてきたお話や、自分自身が3D CADやCAEソフトなどを使用して感じた現場目線の意見など、可能な限り紹介できればと思っています。皆さまに少しでも有益な情報を提供できるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
筆者が実際に企業を訪問し、3D CADについて説明していると、「3D CADは“立体を作成できるだけのもの”」と思い込んでいる方に出会うことがあります。確かに、最近は展示会やセミナーなどで3D CADの根本的な説明をするメーカーや商社は少なく、最新機能の紹介が主のため、“基本的なできること”を知らない人も多くいると感じています。
ということで、まずは“3D CADで一般的にできること”について紹介します。既に3D CADを使用されている方にとっては当たり前の内容になりますので、必要のない方は読み飛ばしてください。
3D CADが立体形状を作成するソフトであることは、皆さんご存じのことと思います。立体形状にすることで2Dの図面よりも形状認識がしやすいのはもちろんですが、それだけではなく、断面を切ったり、組み立て性の検討や部品と部品の干渉チェックを行ったり、材料を指定して質量や重心を確認したりといったことが可能です。また、3Dモデルから2D図面の作製も容易にできます。CAEやCAMといったソフトと連携させ、3D CADで作成した3Dモデルを使用して構造解析や熱、流体などのシミュレーション、加工プログラムの作成なども行えます。最近では3Dプリンタも主流となってきて、3D CADで作成したモデルをそのまま3Dプリントして、物理的なモノとして手にすることが可能となりました。
2Dの図面の場合には、人間が頭の中で想像したり、計算したりする部分がありましたが、3Dにすることでこうしたプロセスが軽減され、人的ミスを大幅に減らすことができます。
図1の右側に列挙した内容が3D CADの主なメリットであり、導入しようと思うきっかけに当たる部分ではないでしょうか。そして、図1の左側にある図は、どの3D CADソフトにも搭載されている基本的な機能になります。では、どこをポイントにして自分に合った3D CADを選べばよいのでしょうか? 次は3D CADの選び方について紹介します。
» 3D CAD選びで失敗しないために知っておきたい“6つ”のポイント
» 商用3D CAD製品カタログ
» 設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用
» CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き
» 製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力
世の中には多くの3D CADソフトがあり、3D CADの導入を検討する際に、一体どれを買っていいのか、迷われると思います。失敗する要因として、「3D CADやITの知識を持った人が社内にいない」「何をやりたいのかのイメージもできていなく、商社任せになってしまっている」といったことが挙げられます。
ここからは、3D CADをどういったポイントで選んでいけばよいのかについて、6つの項目に分けて説明します(図2)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
豊富なホワイトペーパーの中から、製品・サービス導入の検討に役立つ技術情報や導入事例などを簡単に入手できます。