シリーズ「モノづくりの現場から」(パナソニック CNS社 佐賀工場)
パナソニック佐賀工場は2つの顔を持つ、全長100mの生産フロアで見たスマート工場の可能性(2/4 ページ)
“脱”紙とペンによる点検――音声入力で設備点検作業の質が向上
実装工程に並ぶ実装機の日常点検では、視覚および音声を活用したソリューションが導入されている。従来、各作業担当者が紙とペンを持って、実装工程に並ぶ複数台の実装機の点検結果を記入していたため、作業効率が悪く時間を要したり、作業者による点検精度のバラツキが生じたりしていたという。
そこで、工場内でも音声が聞き取りやすい骨伝導ヘッドセットとタブレット端末/スマートグラスを組み合わせた作業支援ソリューションを導入。音声ガイダンスや映像で的確に作業内容を把握できると同時に、作業者は音声入力のみで点検結果の記録が行える。これにより両手が完全にフリーとなり、効率的な点検作業の実施が可能となる。
「佐賀工場では、実装機の日常点検と組み立て工程における製品外観検査でこのソリューションを活用している。紙によるチェックだと結果しか残らないが、このソリューションであれば、誰が、いつ、どのくらいの時間をかけてチェックしたのかなどをデータとして記録、蓄積でき、トレーサビリティーの確保にも使える。標準の作業時間も把握できるので、早過ぎる場合はチェックの甘さが考えられるし、遅過ぎる場合は何か問題が発生した可能性が考えられる。そういったことも容易に把握できる」(和田氏)。また、作業に不慣れな場合は、映像による作業内容のアシストをスマートグラスやタブレット端末(パナソニック「TOUGHPAD」を活用)で受けることが可能で、慣れてきたら音声のみで作業を行うといった、作業者のスキルレベルに応じた段階的な導入も行える。
点検が完了したらタブレット端末をクレードルに置き、点検結果のデータをサーバに転送する。実装機を動かすには、全ての点検項目をクリアする必要があり、万一、チェックに不備があったり、規定値をクリアできていなかったりすると、ロックが解除されず実装機の稼働を開始することができないという。「紙とペンによる点検だと、チェック漏れやミスがあっても動かせてしまう。そうなると最悪の場合、設備機器が壊れたり、不良につながったりする恐れがある。しっかりと点検結果をデータで管理することで、異常があれば設備機器を止める、修理するといった判断が迅速に行えるようになる」と和田氏。
高速電力線通信「HD-PLC」は工場でこそ使いたい
また、実装工程を抜けた先では、電力線をデータ通信網として活用する高速電力線通信「HD-PLC(Power Line Communication)」の技術検証も行われていた。
HD-PLCはパナソニックが開発したもので、複数のHD-PLC端末間をホップさせることにより長距離通信を実現する「マルチホップ機能」を備える。そのため、工場のような大規模施設での利用に適しており、省配線化や頻繁に発生する設備レイアウトの変更などにも柔軟に対応できる。取材時は、100Vの電力線を用いて、合計8個のHD-PLCユニットを設置(計7ホップ)、分電盤や電気室を経由して増幅をかけながら、全長約250mもの電力線ネットワークを確立し、ネットワークカメラの映像を伝送する実証実験を行っていた。今後、三相や高圧の検証も実施する予定だという。
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シリーズ「モノづくりの現場から」
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