IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(9)
ソフトウェア品質向上のキモは「行動」にあり(1/5 ページ)
製品とともに行動してこそ品質は変わる。行動することで、品質は製品の「おもてなし」になり、「究極の品質」でもてなすことができる。
品質は心でなく行動で勝ち取る
子どもの頃、物事を行う前に最初によく考えなさいと言われた。急がば回れで、PDCAサイクルのように、最初のPでよく考えて計画を立てて実行するのが美徳とされた。品質活動において、それは間違いである。どんなに優れた品質向上の計画を考えたとしても実行しなければ、絵にかいた餅である。つまり品質活動は計画偏重で行動がともなわず、計画倒れになりがちである。
品質はコツコツ行動
品質はコツコツ行動で少しずつ向上させる。品質が急に下落することはあったとしても、急に向上するのはまれである。まるで株やFXのコツコツドカン(*)である。この理由を見ていこう。
(*)コツコツドカン 株やFXの取引で、何回かコツコツ稼いでいても、たった1回のドカンとした損で、トータル負けになること。これは取引でお金が少ないと起こる。
品質は全てが揃わないと満足のいく結果が得られない。特に「当たり前品質」といわれている機能適合性は厳しい。テストケースを1万件実施して、たった1件だけで障害が見つかっても、機能適合性はダメと判断される。品質は加点主義ではなく、減点主義で採点される厳しい世界である。そこには甘えも温情もない。
そして1万件のテストケースで2個の障害が見つかったとすれば、それだけで品質が2倍悪化したといわれてしまう。品質の数値が落ちるのは本当に簡単なことである。逆に障害2個を1個にしたとしても誰も褒めてくれない。品質が2倍向上したとは言ってもらえない。「まだバグがあるのか。品質が低い」といわれるだけである。そして1個を0個にするのは、2個を1個にするよりも格段に難しい。
このように考えると、品質は急に落ちることはあっても急に向上することはない。例として機能適合性を取り上げたが、性能効率性なども同じである。多くある条件のどれか1つでも引っ掛かれば、それがボトルネックとなって性能は落ちる。性能低下を招く全ての条件をクリアしなければ、理論的な性能値に近づけない。
このためパフォーマンスチューニングは理論性能値を目標とするのではなく、現在の性能よりも数パーセントでも速くすることを目指している。例え、1%であっても性能が向上したのならば、祝い酒を飲みたい気分になる。
品質はコツコツと向上させる。バグは1個ずつ減らし、性能は1%刻みで向上させ、使用性は主観評価で少しずつ満足度を向上させる。品質向上の道は遠き道である。今日は昨日よりほんの少しでもマシな品質を目指し、明日は今日より、ほんの少しだけ進歩させる。これが品質向上の長い道である。この道にはショートカットもなく、自動車もない。一歩一歩、歩いていくだけである。
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IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
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