設計者CAEは普通の解析と何が違う?(4)
モデルの比較検証を「設計者CAE」の中心に、最も効果的な運用方法を考える(1/2 ページ)
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。連載第4回では、最も効果的な設計者CAEの推進方法と、ゴールの見えない解析依頼への対処について考察します。
前回「CAEの稼働率が上がるに従い募る不安、『この解析結果は正しいのか?』を大切に」では、CAEを用いた比較検証とV&V(Verification and Validation:検証と妥当性確認)について紹介しました。
筆者としては、モデルの比較検証でCAEを使用することが、最も効果的な“設計者CAE”だと考えます。同じ解析条件(負荷荷重、拘束条件、物性値)を入力して、さらに同じメッシュサイズを設定することによって、解析結果の精度が実態と異なるものであったとしても、仮想検証上は同じ解析精度で、異なるモデル形状の優劣をシンプルに検証できるからです。
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最も効果的な「設計者CAE」の運用方法とは?
筆者がかつて勤務していたFA装置関連メーカーでは、開発、販売した装置を利用した顧客が“どれだけ生産性を上げられるか”という観点から、よく装置の高速化と小型化が要求されていました。また、顧客から直接「装置の価格を下げてほしい」とコストダウンを求められることも少なくありませんでした。
こうしたニーズに応えるためには、装置の可動部をできる限り小さく、軽くして、高速運転の仕様に対応することが必要です。さらに、“体積(重量)=材料原価”という見方もできるため、コストダウンの観点からも装置の小型化、軽量化が必須でした。当然、装置が小さくなるということは、設置面積も省スペースで済むわけです。このように、当時の開発は“軽薄短小”を目指していました。
一方、現在筆者が勤務する液晶パネル製造機械メーカーにおいては、大型のガラス基板(マザーガラス)を取り扱うことが多くあります。現在、最大のガラス基板のサイズは「G10.5」ともいわれ、2940×3370mmにもなります。畳1畳の大きさが関東間(江戸間)で1760×880mmですので、4畳半を上回るサイズのガラス基板の搬送を行う可能性もあるわけです。このような製品を扱うとなれば、その装置の機構、部品も大きくなり、その剛性確保を考えれば装置全体は大型になります。いわば“重厚長大”です。
この軽薄短小と重厚長大の両方に携わってきた筆者の感想ですが、液晶パネル製造装置の納入先は、巨大なフロアを持つ工場ですので、クリーンルーム内に高密度に装置を並べる必要のあったFA装置と比較すると、装置に対するサイズ感は、半導体実装工程で扱う可能性のあり得る最大口径サイズのウェハーの直径450mmとは明らかに異なります。
装置サイズが大きくてもよいというわけではありませんが、液晶パネル製造装置の場合、装置サイズに関して言及されることはそう多くありませんでした。ただ、いずれにせよ取り扱う装置は大型であり、その構成部品も大きいため、装置を動かす上での動的な剛性、そして装置そのものの静的な剛性、それぞれの要求を満たさなければなりません。また、部品加工、組立製造についても“大きさ”を満足させる必要があります。
それは、俗にいう「大は小を兼ねる」とは異なり、「大は小を兼ねるものではない」と筆者は実感しています。軽薄短小、重厚長大のいずれも剛性の確保、信頼性設計を行うという設計のゴールは同じです。構想設計、また詳細設計を行う上での設計者の試行錯誤において、CAEを使用したモデルの比較検証は、筆者が初めてCAEに関わった当時も、そして今も欠かせないものです。「これからCAEに携わる方も、ぜひこの比較検証を設計者CAEの中心として行ってほしい」と筆者は考えています。
尽きることのないCAE推進者の悩み……
ここまでお伝えした通り、比較検証としての運用は高まり、CAE推進者だった筆者は、単純に解析結果を得るだけでは不安でなりませんでした。そのため、CAEの実運用を行いながら、工学的な知識の習得や実証検証などにも取り組みました。これが“最初の悩み”でしたが、当然、CAE推進者の悩みはこれだけではありません。
CAE運用を重ねていくと、得られた解析結果が自身や設計者の予想と大きく異なることがあります……。また解析案件に対応する上で、自力で解決できない問題が生じることもあります……。さらには依頼者である設計者から困った話が出てくることもあります……。
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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