大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
LPWAの急伸、MIPSの落日。IoTの歩みは緩やかに(1/2 ページ)
2018年も始まって数週間となるが、過去を振り返ることは未来の予測に役立つので、今回はエレクトロニクス/組み込み業界的にインパクトのあった2017年のトピックを紹介したい。
LPWAの急速な立ち上がり
LPWA(Low Power Wide Area)については、2017年前半はどこかのんびりした状況だったものの、後半には急転直下。日本国内でLPWAを推進してきたソラコムがKDDIに買収され(2017年8月)、各社が商用サービスを開始したりといろいろ騒がしくなっている。
通信サービス側だけではなく、LPWAモジュールやモデムを提供するエレクトロニクス業界にも動きがあった。これは2017年12月の話だが、BluetoothモデムやBluetooth内蔵MCUでおなじみノルウェーのNordic SemiconductorがLTE-M/NB-IoT向けモジュールとして「nRF91」のサンプル出荷を開始している。これに続き、2018年は多くのメーカーが新たにモデムチップ/モジュールの提供を始めるようになると思われる。
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2017年4月に掲載した記事に書いた、「規格やサービスの優劣が見えてくるのは2018年に入ってからだと思う」という一文は今も有効だと思う。
これからさまざまなIoTサービスがLPWAを使った実稼働のフェーズに入ると思われ、その中でコストパフォーマンスの見極めや、サービスの得手不得手などが次第に明らかになってゆくのと思われる。そうした「準備期間の終わり」が2017年という年だったのかもしれない。
アーキテクチャの世代交代
2017年の象徴的な出来事の1つは、MIPSの落日であろう。もう少し俯瞰(ふかん)的に、というかMIPSだけでなく全体で見ると「Big coreがLittle coreに駆逐される」事が繰り返されている。
組み込み業界で見れば、かつては幅を利かせたMC68000系がRISC(その最右翼がMIPSだ)に駆逐されていった。MIPSのR2000とかR3000は非常に回路規模の小さなもので、いわばLittle Coreだったわけだ。MIPS 32 4Kもこの延長にある比較的小さなコアだった。
ところがその後、MIPSはMIPS 32 24K/34K/74K/1004Kとどんどん高性能かつ大規模なコアに進化してゆき、気が付けばBig Coreになっていた。そしてその間にLittle Coreのまま少しずつ性能を上げていったARMに市場を奪われていった。
またMIPSと同時に組み込み向けマーケットにそれなりのシェア(PCの転用だが)を持っていたx86も、現在急速にARMにそのシェアを侵食されつつある。これもまた「Big core(x86)がLittle core(ARM)に駆逐される」と表現して差し支えないと思う。MIPSの落日は、こうした世代交代の象徴ともいえる出来事だ。
そして2017年はこれにもう1つ付け加えるべき出来事があった。新たなLittle Coreの登場があり得るかもしれないという話だ。モノは何かというと「RISC-V」である。
実は筆者も2017年末の「RISC-V Day 2017 Tokyo」に参加することで、見識を深めることができた。いろいろと留保条件はあるものの、なかなか興味深い状況であった。もちろん世代交代は10年単位の出来事なので、明日からRISC-VがARMを追い落とすなんてことにはあり得ないのだが、うまくすれば新たなLittle Coreのエコシステムが生まれる可能性は低くない、と強く感じた。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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