大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
群雄割拠のLPWA、2016年度は「種まき」のタイムリミット(1/2 ページ)
IoT向け通信技術として注目を集めている「LPWA(Low Power Wide Area)」だが、複数の規格やサービスが登場しておりさながら群雄割拠の様相を呈している。本格展開はいずれも行われていないが、既に生き残りを賭けた争いが始まっている。
2016年あたりから通信キャリアを中心としたトライアルが行われていたLPWA(Low Power Wide Area:低消費電力・広範囲を特徴とする無線通信技術の総称)。2017年3月は利用(導入)側企業による、LPWA対応の動きが多く見られた(関連記事:IoTやM2Mで注目される通信技術「LPWA」とは何か)。
◎「LPWA」関連記事 ~活用、導入、事例、課題、規格、モジュール~ など
» LPWAの急伸、MIPSの落日。IoTの歩みは緩やかに
» LPWA対応のIoTユニットを開発、SIGFOXとAIでLPガス検針と配送を効率化
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» IoTやM2Mで注目される通信技術「LPWA」とは何か
- 2017年3月31日 オプテックスがLPWAベースのスマートセンサー&データ提供ソリューションの提供開始を発表(プレスリリース)
- 2017年3月30日 福岡市で7社共同(アズビル、グリーンハウス、セムテック・ジャパン、東京エレクトロン デバイス、日本アイ・ビー・エム、Braveridge、菱電商事)によるLoRaWaANベースの実証実験が行われることが発表される(プレスリリース)
- 2017年3月30日 「SIGFOX自動検針コンソーシアム」がサービスを開始(プレスリリース)
- 2017年3月29日 村田製作所とソフトバンクがLPWAをLPWAを利用したIoTサービスの推進で協業を発表(プレスリリース)
- 2017年3月27日 TelitのLTE Cat.1モジュールがNTTドコモの相互接続性試験を終了(プレスリリース)
- 2017年3月27日 ルネサス エレクトロニクスがLoRa AllianceのSponsor Memberに加盟(プレスリリース)
- 2017年3月16日 日立システムズがLPWAを利用したマンホールの防犯・安全対策ソリューションの実証実験を実施(プレスリリース)
関連するニュースをざっと拾ってみてもこのような具合で、まるで年度末にあわせたかのように駆け込みでのプレスリリースが出されている。
2016年度というくくりにまで目をやると、2017年2月27日には京セラコミュニケーションシステムがSIGFOXのサービス開始を発表したり、同年1月17日には明電舎がLPWAを使用した防災監視サービスの実証実験開始をアナウンスするなど、単にキャリアだけでなくさまざまなメーカーがLPWAをベースとした新しいサービスの在り方を模索したり、あるいは実際にサービスを開始したりしている。
- 2017年2月27日 京セラコミュニケーションズによるSIGFOXサービス提供開始(プレスリリース)
- 2017年1月17日 明電舎がLPWAを使用した防災監視サービスの実証実験を開始(プレスリリース)
ここまでNB-IoT、SIGFOX、LoRaWANといった特定サービスを指さずにLPWAとぼやかして書いたのは意図的であって、実のところ、どのサービスが生き残るのか、あるいは複数のサービスが共存しえるのか分からないからだ。
生き残るLPWAはどれか
これは単に筆者が予測できないという話ではなく、キャリアや事業者にとっても同じ事である。例えば2016年12月6日、ソフトバンクと静岡県藤枝市は包括連携協定を結んで藤枝市全域をカバーするIoTプラットフォームを構築することを発表しているが、ここで利用される通信手段は「NB-IoT、Cat-M1、LoRaWANなどの通信規格を収容可能なプラットフォームとして構築」という極めて曖昧なものである(プレスリリース:藤枝市とソフトバンクがLPWAネットワークを活用したエコシステム型IoTプラットフォームを構築)。
LPWAの中でも無線免許が必要になる「LTE Cat.NB1」や「LTE Cat.M1」、あるいはLPWAの枠から外れるかもしれないが「LTE Cat.1」などは免許取得に手間とコストが掛かるし、帯域そのものもやや大きめだから、基地局とバックボーンの間の帯域も考えねばならない。
もちろん、通信そのもののコストも掛かる(何しろ貴重な周波数帯域をわずかとはいえ占有する)から、安価とは言ってもそれなりのコストにはなる。これは当然事業者に転嫁されることになるので、そのIoTサービスがコストパフォーマンス的に見合うか、を慎重に見定めないとスタートしにくいところがある。
これに対してISM帯(日本では920MHz帯)を使うSIGFOXやLoRaWANの場合、そもそも免許が不必要で帯域そのものもそう大きくないから、端的に言えば既存の基地局にSIGFOXやLoRaWANのトランシーバーとアンテナを追加する(これらの設備も、LTEに比べれば桁違いに安い)程度で済む。
電気代も微々たるものであり、それもあって既にサービスを開始しているSIGFOXの場合「1デバイスで1年あたり1ドル」という格安のお値段である。LoRaWANは双方向通信なのでもう少し値段は上がるかと思うが、IoTサービスのコストパフォーマンスを考える上でLTE系よりも遙かに事業化の余地が大きい。余談だが、日本国内に限って言えば、さらにWi-SUNという選択肢もあるので「どれを選ぶ?」となったときの判断が難しい。現状は実のところ「どれでもいいじゃん」に近い。何しろこれからサービスが始まろう、という時期だから見極めは難しいのだ。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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