NEDO/慶應義塾大学 General Purpose Arm
腐ったミカンもつぶさずにつかめる「リアルハプティクス技術」搭載双腕ロボット(1/4 ページ)
NEDOと慶應義塾大学は、身体感覚を伝送できる双腕型ロボット「General Purpose Arm」を開発。世界初をうたう「リアルハプティクス技術」を搭載したマスタースレーブ方式のロボットで、物体の硬さや柔らかさなどの触覚をありのままに伝えることができる。腐ったミカンの除去(選果)など、実用化に向けた取り組みも進められている。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と慶應義塾大学は2017年9月28日、身体感覚を伝送可能な双腕型ロボット「General Purpose Arm」を開発したと発表した。視覚、聴覚、移動感覚に加え、リアルな触覚まで伝わるため、遠隔地からでも高い臨場感をもってロボットを操作できるという。
もう1人の自分、「リアルアバター」を実現
今回開発したGeneral Purpose Armは、マスタースレーブ方式のロボットである。人間はマスター側システムを操作し、その通りにスレーブ側システムを動かすことが可能だ。
視覚と聴覚の伝送については、マスター側でヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スレーブ側でステレオカメラを使用。HMDの向きを検出し、ステレオカメラを連動させることで、操縦者が見たい方向にカメラを向けることができる。
またスレーブ側の土台は車輪を採用した移動機構になっており、前進、後進、旋回が可能。操縦者の足元に置いた筋収縮測定システムで重心移動を検知し、それによってスレーブ側の移動を制御する。
両腕は、それぞれ指×3本(親指、人差し指、中指)、手首、肘、肩に自由度を持つ。操縦者側のロボットアームで各関節の動きを読み取り、スレーブ側のロボットアームで再現する仕組みだ。
このロボットの最大の特長は、ロボットアームでリアルな触覚まで伝送できる点にある。例えば、鉄のように硬い物体をつかんだときは、力を加えても指はそれ以上動かず、反力も大きい。一方風船のように柔らかいものだと、反力は小さく、指はめり込んでいく。スレーブ側から情報をフィードバックし、マスター側でこの感触を再現するわけだ。
従来のロボットは、位置を精密にコントロールする位置制御が中心で、金属の切削などは得意だが、柔らかい物体の扱いは苦手とする。General Purpose Armを開発した慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科の野崎貴裕助教は、「現在のロボットは頼もしいが、物体に適応する能力が低い」と指摘する。
現在、少子高齢化が進んでおり、若年労働力の減少、介護負担の増加、熟練技術の喪失などが問題化している。これを解決するための手段、人工的な労働力としてロボットの活躍に大きな期待が寄せられているが、触覚がないと対象物を壊す恐れがあり、介護現場であれば深刻な事故にもなりかねない。
ロボットが人間の代わりに作業するには、従来の位置制御だけでは不十分だ。そこで、General Purpose Armで採用したのが、慶應義塾大学 ハプティクス研究センターの大西公平教授が長年研究してきた「リアルハプティクス技術」である。これは、位置制御と力制御を統合することで、リアルな触覚を伝えることができる「世界初」(同センター)をうたう技術だ。
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