DMS2017 オートデスク ユーザートークショー
あらゆる産業がモノづくりをビジネスに!? これからの製品開発と設計者の役割(1/2 ページ)
3Dプリンティングやクラウドといった技術の進化により、モノづくりを取り巻く環境が大きく変わろうとしている。「ものづくりの民主化」を推進するカブクの横井康秀氏がオートデスクのユーザートークショーに登壇し、同社の取り組み、これからの製品開発やデザイナー(設計者)の役割について語った。
近年、大規模な製造設備を持たないスタートアップやベンチャー企業、あるいは個人でも、モノづくりの世界に挑戦できる土壌が整いつつある。こうした変化の背景にあるのが、3Dプリンティング技術とクラウド技術の発展だ。
先日開催された「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(会期:2017年6月21~23日)に出展したオートデスクは、自社ブース内のステージでユーザートークショーを開催。カブク インダストリアルデザイナー オープンイノベーション推進事業 事業責任者の横井康秀氏が「ものづくりの民主化とクラウドが変える製品開発」というテーマで、カブクが推進する「ものづくりの民主化」、そしてこれからの製品開発やデザイナー(設計者)の役割について語った。
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「ものづくりの民主化」を目指すカブクとは?
司会 ――まずは、横井さんが所属するカブクという会社について教えてください。
横井さん カブクは、デジタル製造技術を軸としたモノづくりベンチャーとして2013年に設立されました。3Dプリンタを所有する製造工場をネットワークでつなげ、3Dプリンタを使用したいユーザーにその製造リソースを提供するプラットフォームサービスを展開しています。
2013年9月にB2C向けサービスとして「Rinkak」をスタートさせました。これは、ユーザーが作成した3DデータをRinkakのWebサイトにアップロードして、出品、製造できる3Dプリンティングのマーケットプレースです。製造はネットワークでつながった世界中の工場(製造パートナー)で行われるので、例えば購入者が米国在住であれば、注文内容に適した製造が可能な米国内の工場で3Dプリントされて、そのまま購入者の手元に届けられます。
最近は、B2B向けの技術購買のアウトソーシングを行うサービス「Kabuku Connect」を開始しました。さまざまな製造設備を持つ工場をネットワークにつなげ、それらの工場と製造設備を持たない企業ユーザーとを橋渡しするもので、利用者側である企業は図面や3Dデータを送るだけで、世界約300工場の中から最適な見積もりを一括で受け取ることが可能で、試作や特注品、金型作成などの製造を高品質、短納期、低価格で実現できます。
3Dプリンタの課題は「What to make」
司会 ――Rinkakでは、3Dプリンティングと伝統工芸とを融合したプロダクトにも取り組まれているようですが?
横井さん 岡山県の藍染職人さんとコラボレーションしたプロダクトがあります。Rinkakでこれを注文すると、まず製造パートナーの工場で造形が開始され、造形完了したものが藍染職人さんのところに配送されます。そして、職人さんの手で藍染が施され、その後、購入者の手元に届くわけです。
効率化、省力化できるところはシステム化し、人の手でしか実現できないような部分はしっかりと職人さんの手で価値を乗せてもらうことで、これまでにない新しいプロダクトを作り上げています。
司会 ――数年前から3Dプリンタがより身近なものになり、モノづくりへの考え方も変わってきたと思います。そうした変化をどのように感じているでしょうか?
横井さん 3Dプリンタそのものに触れる機会は昔からありましたが、長年プロダクトデザインに携わってきた立場からすると、「ついに来たか!」というワクワクとした気持ちになりますね。しかし、そうした感情の一方、3Dプリンタで単に形を作るだけではダメで、質感や仕上げといった部分など、顧客がほしいと思ってくれる、買いたいと思ってくれるモノをどうやって作り上げていくかが非常に重要だと感じています。3Dプリンティング技術だけではモノづくりは進みません。
技術的な進歩や扱える素材が増えたことにより、3Dプリンタで作れるモノの幅が格段に広がってきましたが、やはり課題は「何を作るか」ではないでしょうか。「How to make」ではなく、「What to make」が課題といえるでしょう。
ただ、ひとたび「What to make」が明確になると、その後は非常に早いと思います。目的がはっきりとしているので、3Dモデリングのやり方や3Dプリンタの原理を学ぶ姿勢や吸収するスピードが明らかに違いますね。
司会 ――先ほどの藍染は職人さんとのコラボレーションでしたが、モノづくり以外の企業とのコラボレーション事例もいくつかあるようですね。
横井さん はい。代表的なものとしては、スクウェア・エニックスのスマートフォン向けゲーム「星のドラゴンクエスト」のゲームキャラクターを3Dプリントするサービスがあります。ゲーム内でさまざまな武器やヨロイなどを装着してカスタマイズしたキャラクターの姿を、そのまま3Dフィギュアとして購入できるというものです。
また、学校教育におけるプログラミング学習推進事業「総務省 ICTドリームスクール実践モデル プログラミング教育とデジタルものづくり教育の実践」の一環で、日本マイクロソフトと協業し、人気ゲーム「Minecraft」の3Dプリント支援も行いました。
これまで直接的にモノを作る機会や、そもそもそうした発想のなかった企業が、「自分たちでもモノが作れる(モノづくりを絡めたサービス展開ができる)」ということを理解してもらえる事例だと思います。われわれとしてもそうした新しいビジネス展開のお手伝いができることは非常にありがたいですね。
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