IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(10)
ソフトウェアテストの未来(前編)――テスト技術者の将来と教育(1/4 ページ)
IoTやAIが一般化する未来においても、ソフトウェアテストは険しい道のりを歩むことになるのだろうか。まずはテスト技術者に焦点を当て、その生きる道と道しるべである教育について見ていきたい。
ソフトウェアテストの未来はどうなるのか。IoTやAI、ビッグデータ時代でもこのまま険しい道が続くのか。それとも緩やかな回り道が見いだされるのか。
どのような道が待ち受けているかを探るため、ソフトウェアテストの未来をのぞいてみる。前編の今回は「テスト技術者」にスポットを当てて、これからのテスト技術者の生きる道とその道しるべとなる教育について見ていく。
テスト技術者の生態
今まではソフトウェアテストの仕事そのものについて見てきたが、このテストを実施するテスト技術者とはどんな人なのか。テストが好きで好きでたまらない人か、プログラムのあら探しに生きがいを感じている人か、それとも仕事として割り切ってやっている人か。ここではテスト技術者の生態を探っていき、これからのテスト技術者のあるべき姿を求めていく。
新時代におけるテスト技術者のあるべき姿
最初に新時代のテスト技術者のあるべき姿を見ていく。例えばAIシステムのテスト技術者のあるべき姿は、「AIをブラックボックスでなく、学習データや規則を全て把握し、AIの動作を完全に理解し、確定的なテストケースを作る能力があること」となるだろうが、神様でもない限りそれは無理だ。神様でもなく、AIのバグを本能で察知する特殊能力者でもない人間のテスト技術者は、数学、なかでも統計の使いこなしを目指すべきだ。
非決定的なシステムの正当性(バグが出ないこと)を保証するには、神様でもない限り何回も試行して、統計的に推測するしかない。コストは発生するがテストを数多く試行し、その結果を統計的に分析することがテスト技術者のあるべき姿であろう。
テスト技術者の仕事を再考する
プログラミングが創造的な仕事にあるのに対し、テストではプログラムを分解してバグを見つけることから、テストはプログラムを破壊する仕事であるといわれる。
破壊まではいかなくても、プログラムに悪口を言う仕事である(プログラマーの悪口を言うのではないことに注意)。実際のテスト技術者の仕事はバグを発見するテストケースを作成し、作ったテストを実施し、バグを発見することである。またバグの分析を行い、プログラムの評価を行う。これと並行して、テスト自身の分析と評価もする。
単体テストのホワイトボックステストはプログラマーが行うので、ここではテスト技術者が行う結合テスト以降のブラックボックステストでの仕事について見ていくことにする。
ブラックボックステストにおいて、テスト技術者はテストケースを仕様書やマニュアル、その他のドキュメントから作成する。ここが大事である。つまり他人が書いた仕様書やマニュアルを読解することが最初の仕事になり、これこそが大事な仕事である。仕様書がちゃんと書かれていればいいが、情けないことにそれは期待できない。つまり、ちゃんと書かれていない仕様書をテスト技術者は読む必要がある。仕様書の行間を読み、文底にある文脈を発見しなければならない。このためには知識と経験そして勘が必要になってくるであろう。本当に頭の痛い仕事である。
次の仕事はテストケースを作ることである。このときにテスト手法やツールも選定する。テストケースの目的はバグを発見することであり、表面的なワナではバグ発見の効き目が弱く、深遠の底にいるバグを見つけられない。最初は機械的に満遍なくテストケースのワナを作るが、これだけでは弱い。もっと深く、メリハリを付けてワナを仕掛ける必要がある。これにも知識と経験、勘が必要になってくる。
つまり、バグが潜んでいそうな場所を見つけ、そこに強力なワナを仕掛けることがテスト技術者の必須スキルである。「プログラムの関節は外れてしまった。あぁ、なんと呪われたバグか。それを見つけるために生まれてきたのか。」というハムレット風の言葉がテスト技術者の嘆きである。
テストケースとその実施計画を作ったら、いよいよテストの本番である。作ったテストケースで早速テストを実施する。しかし、多くの場合、すんなりとは行かない。途中で大量のバグが見つかり、それ以上進まなくなることや、システムが突然ダウンする、コーヒーがキーボードにこぼれるという不幸な事件が起こる。絶対、起こるのである。ここでテストを中断すると二度手間になるので、回避策を用意しておくのがテスト技術者の務めである。
テストが終われば、その結果の分析をして、テストとプロダクトの両方の評価し、最終報告をする。テスト分析と評価、報告はテスト技術者の重要な仕事であり、これによって、テストとプロダクトの弱点を明らかにするのである。この分析や評価では統計的な知識やそのプロダクトの過去の実績、自分自身の別プロダクトでの経験、そして勘も必要になってくる総合的な仕事である。
とあるテスト現場より(1)
A:「でも仕事って、要するにテストをすることですよね?デバッグせずに。お気楽だなぁ」
B:「そりゃそうだが、最後のバグを見つけるのは難しいぞ。もはや魔法が必要だ」
A:「分かりました!自分は最後のバグを見つける魔法使いになります!」
B:「君の書くテストケースは既に魔法の呪文になっているぞ。どんなテストをすればいいのか分からん」
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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