IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(10)
ソフトウェアテストの未来(前編)――テスト技術者の将来と教育(2/4 ページ)
理想的なテスト技術者の生態
テスト技術者はこのような仕事をこなす必要がある。このためにはプログラムを常に疑い、正常に動作しているように見えるときでも、そのプログラムを決して信じない心が必要である。プログラムは必ず間違った動作をして、プログラムには必ずバグがあると信じることだ。バグは決して人を裏切らない。テスト技術者はそれを信じて、プログラムを疑う。
テスト技術者は不真面目かつ律義でなければならない。生真面目にテストを行うだけではコストばかりがかさむからだ。テスト技術者には手を抜いても心を痛めないような、ずぶとい神経が必要である。これにはテストの実行に際して手を抜いたことに誇りを持つことであるが、その一方で、テストの分析と評価は律義に行わねばならない。
どこでを力を抜いたかを含めて、テストを真面目に分析し、評価しなくてはならない。非決定的な動作をするAIシステムでは統計分析を真面目に行う必要があり、ずさんな分析と評価は有害でさえあり、何の利益ももたらさないからだ。
テスト技術者には、深みにはまりながらそれを忘れ去る能力も必要だ。テストケースを作るときはシステムの深遠をのぞき見るように入り込み、テスト実施から分析、評価についても同様に注力する。しかし、その後にはきれいさっぱり忘れるべきである。
バグを発見したという経験は武器であるが、同時に足かせとなることも多い。「同じ人では同じようなテストをしてしまう、同じようなバグしか発見できない」、これはテスト原則の5にある「殺虫剤のパラドックス」である。これに落ち込まないよう、忘れることが大事である。
なお、日常生活ではこんな人がいると嫌われるので、テスト技術者は普段の生活では猫を被っておかないと、きっと不幸になる。
とあるテスト現場より(2)
A:「なんかテスト技術者って大変。ところで私はテスト技術者になれるんでしょうか」
B:「ズボラで疑り深いところは合格だな。手抜きも抜群だし」
A:「いやぁ、そんなことないですよ。自分はまだまだですよ」
B:「いや、褒めていないから」
テスト技術者の発掘と教育
ここからはテスト技術者をどのように発見して教育し、どのように活動の場を与えるかを見ていく。
テスト技術者の発掘と教育のオキテ
往々にして、テストは新人や若手がやるものと思われていて、また社外の人にやらせるものというように考えている人がいる。この状況を放置すればOJT(On the Job Training)の名の下に、テスト技術者は放置されるだろう。ここに体系だった教育はない。教育への思いもない。
体系だった教育がないところでは個人による勝手な教育と育成が行われる。その結果、「スーパー」テスト技術者を頂点とする流派が生まれ、家元制度が生まれる。家元制度では明示的な教育ができないので、教育を一子相伝の秘伝としている。これにより特殊な世界で特殊な環境で特殊なテストをするテスト技術者を生みだすことになる。しかしこれでは新しいIoTやAI、ビッグデータの時代に対応できない。
この不幸の連続を断ち切るためには、体系だった教育が必要である。特にテストはプログラミングと違い、外部からの圧力(書籍や雑誌などの情報)が少なく、教育もおざなりになり、いびつな家元制度に育ってしまうことが多い。
まずは数学、なかでも統計や確率を学ぶ。次にソフトウェア工学やその中のテスト技法を習得する。しかしその後、すぐにテストツールを学んでしまうのは危険である。テストツールはどうしても特定環境を想定したものとなりがちで、テストの手法そのものを正しく伝えるには適さない。
こうした得手不得手を考えずに短絡的にテストツールを導入すると、今後はテストツールの闇に迷い込んでしまう。例えばオールペア法は入力や出力が明確化されていない場合に利用するべきではないが、オールペア法ツールを適用するために無理やり入力と出力を決めるという事態が起こりかねない。そうなっては本末転倒だ。
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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