SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016 講演レポート
国内ベンチャーが目指す「スーパーカブ」のようなロケット開発(1/3 ページ)
ベンチャー企業による宇宙開発はどこまで進んでいるのか? 「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016」のユーザー事例セッションに登壇した、インターステラテクノロジズ 代表取締役社長 稲川貴大氏による講演「北海道における民間企業によるロケット開発の現状と未来」について取り上げ、彼らが何を目指してロケット開発に着手し、どのような将来ビジョンを描いているのかを紹介する。
これまで宇宙開発分野は、国家の威信をかけた一大プロジェクトとして、米国であればNASA(米航空宇宙局)、日本であればJAXA(宇宙航空研究開発機構)といった研究開発機関が中心となり進められてきた。そうした時代が長く続いてきたわけだが、ここ数年、民間のベンチャー企業が宇宙開発に進出するケースが増えてきている。
こうした動きは日本でも例外ではない。超小型人工衛星の設計開発などを手掛けるアクセルスペースや、堀江貴文氏が設立したロケット開発のベンチャー企業インターステラテクノロジズなどが知られている。
国内ベンチャー企業による宇宙開発はどこまで進んでいるのか? 本稿では、2016年11月8日に開催された「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016」のユーザー事例セッションに登壇した、インターステラテクノロジズ 代表取締役社長 稲川貴大氏による講演「北海道における民間企業によるロケット開発の現状と未来」について取り上げ、彼らが何を目指してロケット開発に着手し、どのような将来ビジョンを描いているのかを紹介する。
宇宙開発は国策から民間へ、ベンチャー企業が注目する宇宙産業
インターステラテクノロジズは、北海道・十勝地方の南側にある海沿いの町、大樹町に本社を構える。エンジニア14人からなる技術者集団で、ロケットエンジンの開発を中心に、日々モノづくりに明け暮れ、試験をし、ロケットの打ち上げに備えるといった活動を行っている。「現状、本社工場に町工場的な加工・製造設備をそろえ、ロケット開発に必要となる大部分の部品を内製している。一方、東京にある事務所ではロケットに搭載する電子部品の設計開発などを行い、2拠点による開発体制をとっている」と稲川氏。
ロケット部品の設計には、3次元CAD設計ソフトウェア「SOLIDWORKS」を使用し、部品の1つ1つを設計して、CAMに落とし込んで製造しているそうだ。
ロケットというと、多くの方が「H-IIAロケット」や「イプシロンロケット」のような大きなロケットを思い描くのではないだろうか。しかし、稲川氏は「こうした皆が知っているロケットとは違う流れが宇宙開発にはある。それをわれわれがやっている」と語る。
稲川氏率いるインターステラテクノロジズは、国策として行われる数千億~数兆円規模の大型プロジェクト以外の領域、小~中規模クラスのロケットによる商業活動を狙っている。「日本の宇宙産業はそれほど大きな市場ではなく、2500億~3000億円規模といわれ、その92%が官需によるものである。文部科学省や経済産業省、内閣府などが発注して、JAXAがそれを受けて、宇宙産業を手掛ける大手重工メーカーと連携し、開発・製造、打ち上げなどを行う。われわれは、こうした官需に大きく依存した枠組みではない、官需によらない市場を模索。小さな市場をしっかりと獲得して、そのパイを大きく育てていきたい」と稲川氏は説明する。
宇宙旅行や宇宙ホテルまで、世界中で宇宙開発ベンチャーが台頭
一方、世界的には多くの民間による宇宙開発ベンチャーが誕生している。ロケットの再使用打ち上げなどに取り組むSpaceX、米国のホテル王ロバート・ビゲロウ氏が設立した宇宙ホテル建造を目指す企業Bigelow Aerospace、宇宙旅行ビジネスへの進出をもくろむヴァージングループのVirgin Galacticなどが有名なところだろう。それ以外にも、Googleが人工衛星の製造・運用や衛星画像の提供などを手掛けるSkybox Imagingを買収したことも話題となった。「Googleは地球観測を行い、Google EarthやGoogle Mapsをリアルタイム化しようとしている。現在公開されている画像は1、2年くらい前のものだが、最新の画像を閲覧できるようになる。そのために彼らは自ら人工衛星を打ち上げようと計画している。他にも、世界中にインターネットを普及させる全世界インターネットといった構想も持ち上がっている。このように、さまざまな民間企業が新たな宇宙開発や宇宙ビジネスに取り組んでいる」(稲川氏)。
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