SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016 講演レポート
国内ベンチャーが目指す「スーパーカブ」のようなロケット開発(2/3 ページ)
インターステラテクノロジズは宇宙産業で何を目指す?
前述の通り、民間企業による宇宙開発が盛んに行われつつある今、インターステラテクノロジズは宇宙産業の中で、どこの領域を目指しているのだろうか?
宇宙開発・宇宙産業は、大きく「衛星・探査」と「ロケット」に区分されるが、彼らが手掛けるのはロケットの開発。具体的には「観測用ロケット」と「超小型衛星用ロケット」の開発を目指すという。「将来的には小型ロケットで、超小型人工衛星をはじめとする小さな荷物を運ぶ打ち上げサービスを展開したいと考えている」と稲川氏。
人工衛星に起こるイノベーション
人工衛星は、宇宙開発が進むにつれて次第に大きくなっていったという。「当然、大きな人工衛星であればいろいろな機能を備え、多くの情報を観測・収集できる。そうなると、自然に大きなモノを運ぶには大きなロケットが必要だ! となるわけだ。気象衛星『ひまわり』はマイクロバスほどの大きさがあるという。そんな大きなものを宇宙空間に飛ばしている。巨大プロジェクトの場合、ロケットの開発費も100億円どころではなく、多大な費用が掛かる。打ち上げ費用も1機で100億円などともいわれる」(稲川氏)。
その一方で、テクノロジー・半導体プロセスの進化を背景に、人工衛星の小型化が急速に進展している。これまで人工衛星といえば巨大なものだったのが、人間が抱えられるほどの大きさに必要十分な機能を備えた、超小型の人工衛星が低コストかつ短期開発で作れるようになってきたのだ。「この領域は日本のお家芸といえる。数百億円も掛かっていた人工衛星の開発が、数千万~数億円で可能になった。もちろん機能などは劣る部分もあるが、開発コストの大幅削減は大きなインパクトがある。人工衛星の開発にイノベーションが起きているのだ」と稲川氏は説明する。
これに対して、ロケットはどうか? 人工衛星に超小型化・低コスト化をもたらすイノベーションが起きているのに対し、それを運ぶ手段であるロケットは、H-IIAロケットやイプシロンロケット以外に解がない状態である。このギャップに対してインターステラテクノロジズは「こうした人工衛星開発のドラマチックな変化を受け止め、ロケット側でもしっかりとそれに応えていこう! という思いでロケットの開発に取り組んでいる」(稲川氏)という。
超小型人工衛星の打ち上げニーズが増加
超小型人工衛星の打ち上げ数もここ数年、ベンチャー企業の参入により急激に伸びているという。大型の人工衛星に対して、超小型の人工衛星は短期間・低コストで開発が可能で、若手人材の育成にも役立つ。実際、超小型人工衛星の開発で経験を積んでから大型の人工衛星開発に携わるといったケースも増えているという。
日本のベンチャー企業であるアクセルスペースは、2022年までに超小型人工衛星を50機打ち上げる計画を打ち出している。「この50機という数字は宇宙開発分野では驚異的な数である。日本国内で2015年までに打ち上げられた人工衛星の数は、200機に満たないといわれている。アクセルスペースは単独で50機を打ち上げるとしているのだから驚きだ。少数精鋭の宇宙開発ベンチャーとして知られるアクセルスペース以外にも、海外には多くの超小型人工衛星ベンチャーが存在している」(稲川氏)。
こうした増加しつつあるニーズに対して、気軽に利用できるロケットを提供しようというのがインターステラテクノロジズの考えである。「これまで国家プロジェクトで作られてきたロケットはいわば『フェラーリ』のようなものだ。国の威信をかけて最高レベルの技術を集結して開発されている。これに対し、われわれが目指すのは『スーパーカブ』のようなロケットだ。誰でも気軽に使えて、量産が可能なロケットを作りたい」(稲川氏)。
インターステラテクノロジズは、ロケット開発であっても「ユーザーファースト」で取り組むべきだと主張する。そのために、彼らは無駄な機能を排除して、なるべく安価な部品で量産できるロケットの開発を目指しているのだ。
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