IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(8)
間違いだらけの組み込み系品質管理、面倒な品質管理を楽しむコツ(1/4 ページ)
ソフトウェアの品質管理はつらくて面倒だ。品質計測や品質制御は効果をすぐに実感できるが、品質管理の効果は後でしか得られない。「面倒だが後が楽になる」と分かってはいても面倒は面倒である。こんな品質管理を楽しくする方法はあるのだろうか。
楽しく美しくなければ品質管理ではない
品質管理は品質のお守りでも、縁の下の力持ちでもなく、日常業務でもなく、習慣でやるものでもない。目的を持って、強い意志でやりぬき、そして楽しく美しく品質管理をするのだ。……と品質管理が途中で挫折しないために、最初に宣言したい。
美しく整然とした世界と荒廃し崩壊した世界
品質管理がきっちりと行われると、品質に関係するデータは整然と並べられ、いつでも瞬時に取り出せる。品質分析で新しい分析をするときにもその効果は絶大だが、それより大事なことは、整然と管理するという文化が根付くことである。この文化の下、品質計測から品質制御、品質管理のサイクルが良い方向に回り出す。
一例を挙げるならばバグはいろいろな角度から周辺情報も含めて計測され、過去の管理されたデータと比較され、統計的な判断が下される。その判断に従って、バグは制御され、最終的には消去される。この様子がしっかりとバグ管理表に記録され、バグは誕生から死亡までを管理されることになる。なんと美しい世界であることか。
この美しく整然とした世界にも、破滅のトゲは刺さっている。品質管理では品質だけでなく、製品やプロジェクトなどの品質対象の情報も収集し、分析する。その量は膨大になり、管理コストも膨大になる。
例えばIPA/SECが収集しているソフトウェア開発データは400個以上にも及ぶ。もちろん、全ての組織で400個以上のデータを管理している訳ではないが、それでも収集しているデータ量は多いはずだ。新たなデータ収集指示はトップダウンで簡単に出されるが、データ収集を止める指示は誰からも永遠に出されない。この結果、品質管理のコストは年々、単調増加する。これは美しい世界のトゲとなるので留意すべきである。
一方、管理が行き届かない世界では、全てが荒廃し崩壊する。品質データはドキュメントとデータベースに埋もれて、表に出ることを許されない。過去のデータと現在のデータは入り乱れ、トレンド分析をすると時空間にゆがみが生じる。そして全ての品質データは闇に葬られ、バグとともに腐海に沈むのだ。デスマーチプロジェクトは品質管理されず、腐海に沈む。
デスマ中の人は管理ができるぐらいならデスマではないと言う。しかしこれは逆だ。管理できないからデスマになり、腐海に沈む(もちろんデスマになるにはこれだけではなく、企画で何もせず、要求は何でも引き受け、設計はあさっての方向に線を引く、実装は自分勝手に行うなど少なくとも3個以上の条件が必要である)。管理されず計測されず制御されないバグは新しいバグを生み、管理をさらに難しくする。こうして負のスパイラルが回り出す。
これは割れ窓理論(*)で説明できる。割れ窓理論は社会学では認められていない理論であるが、これを好む日本人は多い。割れ窓理論から、品質が管理されないということは、品質に関心を持たれていない証拠であり、関心を持たれない品質は放置され、やがて誰も話題にできない禁句となる。逆に管理されている品質は皆から注目され、やがて周囲は品質を第一に考えるようになり、現場は品質至上主義になる。
(*)割れ窓理論 窓を割れたままにしていると、それに関心を持たれていないということを回りに示すことになり、さらに大きなものが壊されるようになる。例えば小さな割れ窓の警告を無視してプログラミングしていると大きなバグがその窓から入ることになる。
今まで見てきたように品質管理は正しく運用すれば、正のスパイラルを生み出すパワーの源になり、品質活動の総まとめになる大事なフェーズである。これだけはキモに銘じてほしい。
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IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
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