日の丸半導体は「今度こそ」の成功を収めるか:TechFactory 人気記事TOP10【2017年11月版】
TechFactoryオリジナル記事コンテンツの人気ランキングTOP10をご紹介。今回は半導体大手、ルネサス エレクトロニクスの車載事業動向を伝える記事に注目が集まりました。テレビや携帯では失敗したルネサスだけに今度こその思いは強いようです。
TechFactory 2017年10月の人気記事ランキング
皆さん、こんにちは。TechFactory編集部です。今回は、2017年11月1〜30日までの期間に掲載されたTechFactoryオリジナル新着記事コンテンツから、人気記事ランキングTOP10を紹介します(過去の人気記事ランキングを読む)。
11月の人気記事ランキングTOP10
2017年11月1〜30日日の丸半導体は自動車で今度こその成功を収めるか
今回の1位は半導体大手、ルネサス エレクトロニクスの車載事業の動向を伝える記事、ルネサスが車載半導体シェア30%を狙う「何が何でも成功したい」でした。日の丸半導体として誕生して7年、テレビや携帯電話向け製品ではライバルの後塵を拝してきましたが、ようやく世界を狙う準備が整いつつあるようです。
世界的な潮流である「自動運転」は言うまでも無く、クルマの電子化とほぼイコールです。これまでの自動車開発と自動運転車開発に違いは多数ありますが、その1つとして「部品開発」の比重変化が挙げられます。これまでエンジンやシャシーといった車両を構成する部品1つ1つの開発は、クルマの性能を大きく左右していました。
ですが、自動運転車の場合は提供する機能は全てシステムの成果であり、結果として、エンジンや車載CPUといった構成要素1つの開発に対する比重は低下しています。もちろん、エンジンやシャシー、車載CPUといった構成要素が大切なことに変わりは無いのですが、どのようにシステムとして機能させ、成果を得るかが重要視されるようになってきたといえるでしょう。
その「システムとしての提供」に着目したのが、ルネサス エレクトロニクスの「Renesas autonomy」です。これは単なる部品提供から、ソリューション提供への提案方法変更ともいえるもので、具体的にはレベル2およびレベル3の自動運転車両に向けた製品とソリューションの提供で競争を勝ち抜く考えです。
ルネサスエレクトロニクスの車載事業を担当する大村隆司氏は「IntelやNVIDIAが取り組む方向を、積極的に目指す意志はない」と自社の方向性を語りますが、同時に「誰が生き残るか分からない。まだまだ勢力図は変わるはず」とも述べます。
トヨタ自動車は自動車専用道での合流、追い越し、車線変更を自動で行う自動運転車を2020年に実用化すると発表しており、そこにはルネサス エレクトロニクスのマイコン「RH850」が採用される予定です。ルネサスは思う通りに事業を成長させることができるのでしょうか。2020年はもう、すぐ目の前です。
◎関連記事
自動車産業の未来
» 自動車産業、変革の時代をどう生きる? 未来への処方箋
» 燃費規制の厳格化を追い風に、車載モータの新たな需要が拡大
» 「eコックピット」は自動運転車の普及に伴い増加――2022年には830万台超へ
» 「自動追い越し」など実現するレベル2自動運転、2020年には500万台規模へ
» 「事故低減」「優れた運転体験」は自動運転市場を拡大しない
シルバニアファミリーは3Dモノづくりで進化する
第2位は「野球盤」「ポカポンゲーム」「シルバニアファミリー」などで知られる総合玩具メーカーのエポック社が取り組む3D CADやフルカラー3Dプリンタを活用した“3Dモノづくり”の最新事情を紹介する『エポック社が「シルバニアファミリー」の製品開発で実践する3Dモノづくり』でした。
小さな造形物の多い玩具メーカーにとって3Dモノづくりは相性が良いように思えますが、2次元設計環境からの移行には反対も多く、当初は難航したそうです。ですが、3D CAD「SOLIDWORKS」、フルカラー3Dプリンタ「Stratasys J750」などの導入によって、大きなプロセス改善を実現し、いまでは新たな活用ニーズまで創出しているといいます。
ここではソリッドワークス・ジャパン主催の国内ユーザー向け年次プライベートイベント「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2017」の事例講演に登壇した、エポック社 シルバニア本部 シルバニア商品部 技術室 マネージャーの西野晃一氏の講演「SOLIDWORKSとフルカラー3Dプリンタを活用した開発事例」の模様を通じて、“3Dモノづくり”が玩具メーカーをどのように変革していったかを紹介します。
◎関連記事
メカ設計導入事例
» 速度と費用の関係は? 利便性と安全性の確保は? 「クラウドCAE」を徹底検証
» 業界トップのおにぎり成形機メーカーが取り組んだ“3D CAD推進”
» 「VRから目が離せない」トヨタの語る3Dデータ活用事例
「IoT」を知るには
注目は第7位の「製造業へのAI(人工知能)適用で知っておくべき事」です。
TechFactoryではIoT検定制度委員会協力の下、IoTに関する包括的な知識を得られる連載として「製造業のIoTスペシャリストを目指そう」を連載中です。ここで紹介している記事はその第4回となります。
IoTと一言にいっても、そのプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど非常に幅広い分野に関する知識が必要です。
その幅広い知識分野をなるべく効率的にカバーできるよう連載は構成されており、これまでに「IoTによる生産管理」「人材育成」「ネットワーク基礎知識」「AI(人工知能)適用」「ものづくりとロボット」などのテーマで、問題と解答/解説をセットに掲載しています。広範な知識を求められるIoTの世界を泳ぐためのツールとして、一読頂けると幸いです。
◎関連記事
連載「製造業のIoTスペシャリストを目指そう」
» 「ものづくり」へのロボット適用とその進化
» 製造業へのAI(人工知能)適用で知っておくべき事
» 製造現場をIoT化するためのネットワーク基礎知識
» 「ひとづくり」から始まらないIoTは進まない
» IoTによる生産管理を進める基本的な考え方
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 使いやすさの追求とパナソニックの強みが生み出した「顔認証ゲート」
開発を担当したエンジニア自身が「楽しい開発」と振り返る。 - Surface RTとは違う?スマホの巨人に再注目
クアルコムが最新SoC「Snapdragon 845」の詳細を発表、「ARM版 Windows 10搭載ノートPC」の登場も明らかにされました。過去にはSurface RTという悪夢もあったわけですが、さて……。 - パナ“次の100年”のけん引役「Panasonic β」は業界の模範となるか?
パナソニックが、イノベーションを量産するマザー工場として位置付ける「Panasonic β」(米国シリコンバレー)では、新たな住空間の提案に向けたプロジェクト「HomeX」の取り組みが進められています。 - 「産業用Pepper」の可能性
ロボット「Pepper」を手掛けるソフトバンクロボティクスが、自律型の業務用清掃ロボットを2018年夏に販売します。Pepper頼みからの脱却を狙いますが、蓄積したノウハウは生かされるのでしょうか。 - 「野球盤」を生んだエポック社が挑戦する3Dモノづくり
「シルバニアファミリー」の製品開発がすごい! というお話。