「自動追い越し」など実現するレベル2自動運転、2020年には500万台規模へ:矢野経済研究所 自動運転システムの可能性と将来展望 2016
複数の運転動作を組み合わせてドライバーを支援する、自動運転システム「レベル2」の搭載車が、2020年に500万台規模に達するという調査結果を矢野経済研究所が発表した。
自動運転技術にまつわる話題は途切れることなく報じられている。興味深いことに自動運転は「自動車という移動体を人間が運転しない」という側面を持つことから異業種の企業も参入しており、自動車メーカー以外の企業も参入しその有用性を模索している。ただ、無人での完全自動運転はまだまだハードルが高く、当面は基本的には人間が運転を行い、自動車がより賢く支援するという方向性での進化が顕著だろうと想像できる。
矢野経済研究所は自動運転システムの世界市場についての調査を行い、複数の運転支援動作を自動車が行う「レベル2」自動運転の機能を搭載した車両が、2020年には全世界で現在の100倍、500万台の規模に成長するだろうとの予測を発表した。
自動運転システムについてはNHTSA(米国運輸省高速道路交通安全局)がレベル0〜4の5段階に分類しており、現在普及を見せている自動ブレーキやクルーズコントロールなどのADAS(先進運転支援システム)はレベル1に相当する。調査結果によると、2015年の新車販売におけるレベル1機能搭載車両の世界出荷台数は約1354万台に及ぶという。
そして次のレベル2は、ステアリング操作や加減速などといった複数の運転動作を組み合わせて支援するもので、車線の自動変更や逸脱防止、渋滞時の自動追従、自動駐車などの機能を提供する。現在はテスラ「Model S」や日産「セレナ」やメルセデス・ベンツ「Eクラス」の一部グレードなどに導入されており、約5万台ほどの市場を形成している。
車線自動変更や自動駐車を実現する「レベル2」の普及タイミング
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