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IoTによる生産管理を進める基本的な考え方製造業のIoTスペシャリストを目指そう(1)(1/2 ページ)

製造業IoTの話題で頻出する「生産現場の改善にIoTを導入する」ですが、基本となる考え方を理解しないまま導入しても効果は望めません。需要の3要素、生産の7Mといった言葉とともに、IoTによる生産管理を進める基本的な考え方を学びます。

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 製造業において、IoTプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、生産管理、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど幅広い知識が必要となります。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。

はじめに

 IoT(Internet of Things)の活用においては、下記の4段階で考えることが推奨されています。

  •  1.モニタリング(Monitoring)
  •  2.制御(Control)
  •  3.最適化(Optimization)
  •  4.自律性(Autonomy)

 「1.モニタリング(Monitoring)」は、日本語では「見える化」といわれることも多いですが、改善の第一歩として非常に重要な内容です。

製造業のIoT推進

 IoTを活用した製造業の生産現場の改善においては、生産オペレーション技術(OT:Operation Technology)と情報技術(IT:Information Technology)の双方のノウハウを有効活用することが重要です。

 しかしながら、一般に生産の現場に近い部署はIT関連の経験が少なく、またIT部門(情報システム部門など)はOT関連の知識が無いことが多く、また、それらの部署の代表者がプロジェクトに参加しIoTを推進しても、部署が異なる代表者の意思疎通が思うようにいかないこともあります。

 そのため、IoTの推進においては、自部門の専門的な知識だけでは無く、他部門が関連するエリアの基本知識の理解は必須となります。

IoTによる生産管理

 生産現場の改善のためにIoTを活用する際、基本となる考え方は以下になります。

 「需要の3要素」(品質、価格、納期)を達成するため、「生産の7M」(人、機械、材料、方法、市場、資金、管理=Man、Machine、Material、Method、Market、Money、Management)を投入し、「生産管理」を実施します。この生産管理は「需要の3要素」に対応した「品質管理」「原価管理」「工程管理」の3つの管理対象に対して、状況を見える化することが大切です。

 この「見える化」は、“はじめに”でも述べたよう、IoTの4段階の最初のステップに相当します。IoTを活用することで、(1)品質の状況が把握でき、(2)それぞれの製品の原価が明らかになり、(3)納期を厳守するための工程管理が高い精度で実施できるようになります。上記の流れを図に表すと以下になります。

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今回の問題

 それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します。今回は、上記のIoTによる生産現場変革に関連する問題となります(※)。

問題(1):

 IoT(Internet of Things)を活用することで生産状況の見える化が可能になり、問題の状況が明確になり、それが改善につながります。次のIoTによる生産管理に関する考え方で、最もあてはまらないものを1つ選びなさい。

  1. 生産設備の表示灯(パトランプ)の光センサーで取得することで、設備の稼働時間が把握でき、原価の見える化(原価管理)が可能になる。
  2. 生産現場の作業者の状況を監視カメラで確認することで作業者の稼働状況が把握でき、原価の見える化(原価管理)が可能になる。
  3. 生産現場の温度状況をセンサーで取得することで、温度に関連する品質の見える化(品質管理)が可能になる
  4. 生産設備の振動をセンサーで把握することで生産設備の予知保全が可能となり、工程の見える化(工程管理)が可能となる。

※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。

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