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IoTを構成する「デバイス」の必須項目、電源とグランドの基礎知識製造業のIoTスペシャリストを目指そうSeason2(1)(1/2 ページ)

製造業でIoTを導入したプロジェクトを成功させるには、幅広い知識が必要です。今回はIoTを構成する要素の1つである「モノ」(デバイス)に注目し、これらを動作させる電気回路や電子回路に欠かせない「電源」と「グランド」について学びます。

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 製造業において、IoTプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、生産管理、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど幅広い知識が必要となります。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。

 今回はIoTを構成する要素の1つである「モノ」(デバイス)に注目します。「モノ」(デバイス)がIoTシステムの一部として機能するには、センサーやアクチュエータなどが搭載される必要があります。そして、これらを動作させるのが電気回路や電子回路です。

電源とグランド

 電気回路や電子回路がなければ、モノ(デバイス)は動きません。そして、これら回路は通電しなくてはなりません。そこで、今回は回路の基本となる「電源」と「グランド」について説明します。

 小学校のころに習った「豆電球を乾電池で点灯する回路」は下左図のように書かれていたと思います。それが回路図では電源やグランドを記号で表すため、下中図や下右図のように書きます(下中図は電池が省略されており、省略しなければ下右図のようなります)。


「豆電球を乾電池で点灯する回路」

 このような記号で表現された電源には「Vcc」や「Vdd」などと書き添えられることがあります。Vccはトランジスタ回路のコレクタ電源から来た表現で主に5V電源です。VddはFETのドレイン電圧を表していますが、両者が混在することもあるので、FETでもVccを用いることがあります。

 基準電圧を表すグランド(GND)には、主に3種類の記号があります。接地は本来のグランド(大地)でアースとも呼び、実際に地面と接続する場合の記号です。感電防止などの安全対策のために接地します。フレームGNDはその電子機器の筐体(フレーム)に接続されるもので、信号GNDは回路基板の内部における基準電圧を表します。日本ではフレームGNDを使うことが多いようです。


電源とグランド(GND)の記号

 電源やグランドの記号を用いることで、下のように配線の点線部分と電池を省略できます。下右図は光センサー(Cdsセル)で明るさを検出し、暗くなるとLEDを点灯するArduinoの回路ですが、GNDの記号を用いることで回路図がスッキリ見やすくなることが実感できるでしょう。

LED駆動回路の例
暗くなるとLEDを点灯するArduinoの回路例

信号を伝達する信号線とGND線

 ところで乾電池で豆電球を接続する回路において、電池と電球は何本の線で接続されているのでしょう。2本と言うべきか、1本と言うべきか、それが問題です。


豆電球の回路

 ArduinoなどのワンボードマイコンやRaspberry Piなどのシングルボードコンピュータに高性能な周辺機器を接続する際、マイコンと周辺機器との間でシリアル通信を行うことがあり、その通信方法の1つとして「1-Wire」があります。

 名前も「1本のワイヤ」を意味していますし、回路図を見ても配線は1本です。しかし、豆電球の回路図を見て分かるように帰りの電流が流れる線が無ければ明かりはつきません。1-Wireの回路図を注意してみると、GNDが書かれています。これが帰りの信号が流れる線になります。

1-Wireによるシリアル通信
信号線と電源線を兼用した1-Wire

 1-Wireは、デバイスを動かす電源線とGND線、それに1本の信号線との合計3本の線で、複数デバイスと双方向通信を行えます。しかも、信号線と電源線を兼用することもできるので、その場合は2本の線でOKです。信号線には帰りの電流が流れるGND線が必要ですが、回路図ではGNDの記号を用いたりして省略されることが多いので実装時には注意が必要です。

 RS-232Cはレガシーなシリアル通信ですが、現在でも多くの回路で使われています。RS-232Cはインタフェースの規格名ですが、そのために用いるデバイスをUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)と呼びます。UARTは8bitのパラレル信号を電話やRS-232Cなどのシリアル信号に変換するデバイスです。シフトレジスタを用いてパラレル信号とシリアル信号を変換し,非同期通信を行います。RS-232Cを用いてPC同士などを直接接続することが可能です。その場合は送信データTXを相手の受信データRXにクロス接続します。GND線なども接続します。


UART同士ではRXとTXを接続する
photo
Arduino同士をRX端子とTX端子で接続する回路図

 このRXとTXを用いた通信は、2台のArduinoの間で直接データ交換するために用いることもできます。0番ピンがRXで、1番ピンがTXなのでそれをクロス接続します。そのときにGNDの接続を忘れないようにします。


Arduino同士をRX端子とTX端子で接続する実体配線図

今回の問題

 それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します! 今回はIoT検定スキルマップの「デバイス − 制御装置」に該当する設問となります(※)。

問題(1):

 Arduinoで用いられるUARTや1-Wireを用いたシリアル通信に関する説明として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 相互のRX端子同士とTX端子同士とGNDを接続する。
  2. 1-Wireはその名の通り、1本の信号線だけでよく、別途、電源やGNDを接続する必要はない。
  3. 受信信号端子であるRXと送信信号端子であるTXをクロス接続し、さらにGNDを接続する。
  4. 1-Wireは1本の信号線だけを用いるので、センサーなどのデバイスからCPUへの1方向の通信しか行えない。

※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。

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