円周率が3.05より大きいことを証明せよ。「π>3.05を証明せよ」と書けば、たった11文字。この伝説ともなっている東京大学の入試問題をプログラミングで解いていただくのが今回のテーマです。
マスコミでも取り上げられたのでご存じの方も多いと思いますが、2003年東京大学前期日程(理系)入試の数学の第6問が以下でした。
円周率が3.05より大きいことを証明せよ。
これを「π>3.05を証明せよ」と書けば、たった11文字。世界最少文字数で最難度の入試問題かもしれません。
2003年当時、ゆとり教育(正式には新学習指導要領)で「円周率は3とする」と小数点以下を切り捨ててしまいました。「3.14ではなく3なら、円ではなく、六角形ではないか!」とお怒りの先生が、円周率の本質を知ってほしくて上記の問題を作ったのかもしれませんね。
この「最少文字数の難問」をプログラミングで解いていただくのが今回のテーマですが、円周率に関係するいろんなエピソードや問題を紹介しつつ、本題に入ります。
その前に、前回のコラム「全人口にPCR検査をしても意味がない数学的な理由」に関し、直感的で分かりやすい「極端な例」を追加します。世界の人口を77億人として、77億人に1人の割合で罹患する感染症があるとします。その感染症を検知する検査薬の精度が99.9999%で100万回に1回しか誤判定しないと仮定します。この検査薬で陽性になるのは、以下の人数と推定できます。
1人*99.9999%+(77億人−1人)*(1−0.999999)≒1人+7700人
罹患した人(1人)はほぼ完全に陽性と判断される一方、正常なのに陽性と誤判断される人が7700人もいます。「検査で陽性、実際に陽性」の人の割合は、「1/7701」で、0.0129853%、一方、「陽性判定が出たけれど、実は健康な人」の割合は、「7700/7701」で、99.9870146%です。検査薬の信頼性が高くても、罹患率が低いと、世界の全人口に検査を実施しても、意味のある結果は出ません。この極端な例を示せば、多くの人に理解してもらえるかもです。
コロナからパイへ話題を戻します。なぜ、円周率はπか? 何の疑問もなく「円周率はπ」と覚えていると、「なぜ、φやδやσではなく、πなのか?」と聞かれて、困りますね。πは、円周を表すギリシア語「περίμετρος(ペリメトロス)」の頭文字に由来します。「周辺機器」の「peripheral device」の「pripheral(周囲の)」に似ていますね(注1)。
ちなみに、「総和」でお馴染みの「Σ」は、ギリシャ語のシグマの大文字で、Sum(総和)を意味するラテン語、「Summa」の頭文字「S」に由来します。
注1:
「ph」を含む英単語は、アングロサクソン系ではなく、ラテン語由来なので、ラテン語系の言語であるスペイン語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語でも、よく似たスペルでよく似た意味になります。また、英単語で、communicationのように、「〜tion」で終わる単語は、ほとんどが女性冠詞の「la」を付けただけで、フランス語に早変わりします。なので、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドの人々は、フランス語の授業の初日に、数百のフランス語の単語が自動的に手に入るのです。これは、初めて中国語を勉強する日本人が、既に3000もの漢字を知っている「アドバンテージ」に似ています。
7月10日が「納豆の日」のように、1年にはいろんな記念日があります。当然、3月14日は「円周率の日」です。これは日本の話であり、ヨーロッパでは7月22日も「円周率の日」なのです。ここで第1問です。
なぜ、7月22日が「円周率の日」なのか、理由を考えてください。なお、この問題を解くのに必要な情報は全て提示されています。
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