授業で学生に、「πってなんだ?」と聞くと、「円周率です」と答えるので、さらに、「じゃあ、円周率ってなんだ?」と聞くと、「3.14です」と答える場合が少なくありません。そんな場合、さらに踏み込んで、「じゃあ、なぜ、3.14なんだ?」と迫ると、「えっ、アルキメデスの昔からその値です。関数電卓でもその値を表示します」となり、どうも、円周率の意味が分かっていないようです。「円周率を具体的にどうやって計算するんだ? この教室の中にあるものを使って計算してみて」と言うと、頭を抱えて悩む学生が多数……。「除夜の鐘は108」みたいなイメージなのかもしれません。
さらに、「じゃあ、半径がrの円の面積はどうやって求めるんだ?」と聞くと、「r*r*πです」と答えるので、「なぜ、それで円の面積が計算できるんだ?」と畳みかけると、「エッ……」と絶句してしまいます(絶句したいのは私です)。そこで、私は、図1のような円を描いて、説明します。
「いいですか、皆さん、円周率とは、円周Pの長さが、直径Rの何倍かを表したものです。ドラム缶のような円形のものがあれば、糸を巻いて円周を計り、直径も定規で計って、割り算すれば、円周率を求められます。ドラム缶ぐらい大きいと、円周率は3.1ぐらいにはなりますよ。では、円の面積の求め方です。図2を見てください」
円の面積の求め方は、一種の積分の考え方ですね。例えば、図2の左のように、円をピザのように6等分して、それを図2の右のように互い違いに組み合わせます。すると、長方形(正確には平行四辺形)になります。6等分を急激に細かくすると、最終的には、円の面積は、「高さ×横」で、「半径×円の半周」となります。すなわち、(直径の半分)×(直径×円周率×1/2)で、「半径×半径×円周率」になり、「いつもの見慣れた円の面積の公式」になります。
以上が、今回のテーマのイントロダクションです。本編の話より枕(イントロ)が長い柳家小三治の落語みたいですね(私がお金を払って聞きに行った「落語家三銃士」が、立川談志、古今亭志ん朝、柳家小三治で、このうち、存命なのは小三治だけです……)。では、ここで、問題です。
以下の伝説的な東大入試問題を①幾何学的に解いてください。そして、②別の解法でソフトウェア的に(=プログラムをコーディングして)解いてください。それぞれ15分、合計30分で解答してください。
円周率が3.05より大きいことを証明せよ。
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