SOLIDWORKS World 2019
EV普及の起爆剤となるか!? SparkChargeのポータブル高速充電ユニット
EV(電気自動車)の普及を妨げる走行距離や充電インフラ整備、充電スピードといった問題を、ユニークなプロダクトとアイデアで解決しようと立ち上がったのが、米国のスタートアップ企業SparkCharge(スパークチャージ)だ。SparkChargeが開発するポータブル高速充電ユニットの魅力、その可能性について紹介する。
EV(電気自動車)普及の鍵の1つとされるのが、走行距離である。1回の充電でどこまで走ることができるのか。これを達成するため、バッテリーそのものを大容量化したり、高効率化したりといったことが行われているわけだが、同時に充電時間の高速化や充電インフラの整備、拡充にも取り組まなければならない。特に充電インフラ不足は国土の広い米国におけるEV普及を妨げる要因の1つとなっており、その解決が求められている。
こうした課題を、ユニークなプロダクトとアイデアで解決しようとする米国のスタートアップ企業がある。SparkCharge(スパークチャージ)だ。
SparkChargeのプロダクトとは一体どのようなものなのか。その独自性とは。「SOLIDWORKS World 2019」(米国時間:2019年2月10~13日)の基調講演で行われた「3DEXPERIENCE Pitch」でのプレゼンテーションの模様と、日本の報道陣向けに行われたインタビューの内容を基に、SparkChargeの魅力とその可能性について紹介する。
スマホで注文、ピザのように高速充電ユニットをデリバリーしてくれる世界
SparkChargeは、米国ニューヨーク州のシラキュース大学(Syracuse University)の卒業生であるJoshua Aviv(ジョシュア・アビブ)氏によって2014年に創業されたスタートアップ企業である。Aviv氏は、EVを所有する一人として走行距離と充電インフラの不足、充電スピードに不満を感じており、これらの問題を解決すればEV普及にも貢献でき、地球に優しい環境づくりにもつながると考え、起業の道を選んだという。
SparkChargeが開発するのは、EV用のポータブル高速充電ユニット(CHAdeMO方式の急速充電システム)である。ハードウェアはバックパック程度の大きさで、モジュール式を採用する。「LEGO」ブロックのようにリチウムイオン電池モジュールを積み重ねることで、柔軟にバッテリー容量を増やすことが可能である。
充電ユニットの開発には、Aviv氏が起業に際して仲間に加えたChristopher Ellis氏が主に担当する。同氏はバッテリーシステム、パワーエレクトロニクスのエキスパートで、NASAのプロジェクトなどにも参画した経験のある人物。人工衛星に搭載するパワーシステムの小型化などに取り組んだ経験や知見を生かし、SparkChargeのコンパクト化、急速充電の実現を目指す。Aviv氏によると、「SparkChargeの充電ユニットは1分間で1マイル分の充電が可能であり、フル充電で4~6時間もかかる従来の充電ステーションよりも非常に高速である」という。
彼らは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの3つを開発しており、まずはB2B向けにSparkChargeを展開しようとしている。例えば、自動車ディーラーやロードサイド店舗などへの販売の他、オンデマンドの充電サービスとしての活用を視野に入れる。「オンラインなどでEVオーナーからの依頼を受け付け、SparkChargeの充電ユニットを依頼地まで運び届けるというものだ。『Uber』や『Lyft』などのライドシェアサービスを介してデリバリーすることを想定している。これにより砂漠地帯の真ん中で、バッテリー切れで立ち往生してしまう……といったリスクを防げる。スマートフォンでピザを注文するかのように、SparkChargeの充電ユニットをデリバリーしたい」とAviv氏は説明する。
また将来的にはそのポータブル性を生かして、B2C向けにSparkChargeの充電ユニットを個人(EVオーナー向け)へ販売することも検討する。クルマのトランクに積んでおけば、いざというときに取り出して急速充電できるため、充電ステーションを探すことなく、安心して長距離移動が行える。
既に幾つかの自動車メーカーとのパートナーシップも実現しており、これらを通じてSparkChargeの製品、サービス展開を進めていくという。また、本格展開に向けて、資金調達を進めるとともに積極的な人材獲得にも取り組んでいるそうだ。
こうしたアイデアが認められ、SparkChargeは多くのニュースメディアなどにも取り上げられる他、スタートアップ向けのビジネスコンペなどでも賞を獲得している。そして、SOLIDWORKS World 2019の基調講演で行われた3DEXPERIENCE Pitchにおいても審査員および聴衆から高い評価を得て見事優勝し、ダッソー製品群の使用や各種支援を受けられる「3DEXPERIENCE Lab」の権利を獲得した(関連記事:イノベーションの芽を育てるスタートアップ支援制度――仏、米、そして日本で?)。
Aviv氏によると、現段階で6~7社で導入を検討しており、2019年5月をめどに現場での実証が行われるという。また今後の目標としては、2019年末までに米国内での事業展開を本格的にスタートさせ、2020年までにグローバル展開を図りたい考えを示す。「日本はCHAdeMOを推進しているので、SparkChargeのシステムをすぐにでも使うことができる。興味を示してくれるパートナーが見つかれば日本での展開も十分にあり得ると思う」(Aviv氏)
なお、SparkChargeのポータブル高速充電ユニットの開発には「SOLIDWORKS」が活用されており、設計はもちろんのこと、「SOLIDWORKS Simulation」を用いた各種シミュレーション(応力解析など)も行っているとのことだ。
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企業戦略(自動車)
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