インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポート。最終回となる第10回では、2019年のインドネシア製造業の動きと、インドネシアの将来的なIT化の話題について取り上げる。
長期間お届けしてきた本連載も今回で最終回を迎える。昨年(2018年)から今年(2019年)にかけて、筆者は再度、日系企業のお客さま先へ訪問してきたが、総じて「2018年は比較的利益が出た。日本本社とは、今年(2019年)の予算策定を進めているが、ITに関しても予算枠を確保できた」との声が多かった。
しかし、あくまでも予算枠であり“執行予算”ではない。そのため「対投資効果を考慮して優先度を決める」との意見が多かった。また、米国と中国との貿易戦争の影響により、中国工場から生産を移す計画についても、タイ工場ほど明確な話を聞くことはできなかった。
さて、2019年のインドネシア製造業の投資だが、現地の感覚からすると、前半に予定されている大統領選挙まではハードウェアを含めて投資は“様子見”となるだろう(前回の大統領選挙の際も同様であった)。いずれの候補が勝利したとしても、外国資本導入の動きは止まらないのではないか? タイと比べ、インドネシアの日系工場のシステム化は明らかに遅れている。いまだ基幹システムの導入にもがいている企業も多い。対照的にインドネシアのローカル企業では、特に資源ビジネスに起因した製造業が多く、国営に近い形で巨額資本が投下されており、既に大型のERP(Enterprise Resources Planning)が導入されている。しかし、必ずしもその対投資効果が良いとはいえない。
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