組み込み機器に求められる要件は高度化/複雑化しており、チップ側もマルチやヘテロジニアス構成が一般化している。そうした環境下で注目されるのが、「RTOSとLinuxの共存」である。本連載では共存環境の開発に向けた注意点を紹介していく。
AIや自動運転などが日々のニュースで言及されるようになって久しく、組み込み業界でも最近はエッジコンピューティングやIoT(Internet of Things)、Industry 4.0など、一昔前には見なかった用語が飛び交うようになっています。組み込みシステム向けの半導体についても、微細化やムーアの法則の限界がささやかれる中ではありますが、新しい要求に対応すべく進化を続けています。
下表はここ数年の間に発表された組み込み向けSoCですが、特にハイエンド向けのチップではSoC(System-On-Chip)化により複数機能がワンチップ化されるだけではなく、CPUもアプリケーション用/リアルタイム処理用と用途別にヘテロジニアスやマルチコアの構成で搭載されているなど、特定用途に向けた機能も搭載されつつあります。
CPUが複雑化して組み込みチップの選択肢が増えていることにより、開発の現場はどのような影響を受けているのでしょうか。日本国内における、組み込みシステムの開発現場トレンドを見てみましょう。
情報処理推進機構(IPA)の資料「組込みソフトウェア開発 データ白書 2017」を見ると、開発ターゲットの組み込みシステムに占めるマルチプロセッサ/マルチコアCPUシステムは36%を占めています。その中でも、一部にヘテロジニアスマルチコアを含む「シングルチップマルチコア(非対称)」の6%は比較的大きな数値といえます。
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