製造業におけるデータ活用が提唱されて久しいが、業種や企業規模によっては部分的な導入にとどまっているのが現状だ。BIツールベンダーのQlikは「小規模な企業であっても効果を得た例は多い」とデータ活用の重要性を主張する。
製造業におけるIoTの事例としてよく挙げられる「稼働状況の見える化」だが、これは「データ活用」の一例ともいえる。だがしかし、一口にデータ活用と言っても企業はその活動において「設計」「開発」「生産」「管理」「保守」「販売」などさまざまな側面を持っており、稼働状況の見える化はその一側面にすぎない。
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ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Qlik Sence」「Qlik View」などを提供するQlikのマイク・サリター氏はさまざまな側面に存在するデータを組み合わせることで、製造業にとってより高い効果を得られると述べる。
Qlikはデータの可視化/分析用の各種プラットフォームを提供しており、その納入先はIT企業だけにとどまらず、金融や製造など幅広い。大きな特徴はソースやシステムを問わないデータの可視化と分析が可能な点であり、企業内システムに組み込んで利用することもできる。製品としては可視化ツールの「Qlik Sence」や分析者自身の発想や疑問に基づいて分析が行えるセルフサービス型BIツール「Qlik View」などを有する。
――「製造業におけるデータ活用」といっても、具体的にどのような業種で活用が進んでいるのでしょうか。また、これから活用が進みそうな領域としてはどのようなものが想定されますか。
サリター氏: 活用が進んでいる業種の1つとしては自動車業界が挙げられます。自動車の場合、財務やHR(Human Resources:人事)、ITはもちろんのこと、調達から開発、製造、アフターセールスなどさまざまな領域でデータが活用されています。それは、自動車業界は非常に多くの情報に囲まれているからです。
フォードの大量生産方式に始まってサプライチェーンの充実、車両の電子化、そしてカーシェアリングや自動運転と、自動車と自動車を取り巻く環境の情報量はいま現在にあっても爆発的に増え続けています。
これからデータ活用が進みそうな領域としては、「プロセスのデジタル化」が進みそうな分野ではないかと感じています。Qlikはパナソニックや東芝セミコンダクター&ストレージ社、Lenovoなどにもサービスを提供していますが、東芝では意志決定支援ツールとして利用されており、これまで1カ月かかっていたデータの集約と整理を1日で行えるようになりました。
パナソニックにおいては製造現場の見える化ツールとしてQlik Viewが導入されており、日本国内の13拠点と海外の5拠点で発生するデータを集約して可視化しています。この集約と可視化によって、これまで2カ月かかっていたレポート作成時間を2週間にまで短縮することができ、現場管理の側面からも大きな恩恵が生じたと聞いています。
――部品調達サプライチェーンやPOS(販売時点情報管理)システムに代表されるよう、以前よりデータは利用されています。IIoTやインダストリー4.0といった言葉が認知されるようになった近年において、この「生産におけるデータ活用」に何か変化はあるのでしょうか。
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