より高い通電性と低電力損失を目指した素材の本格展開が進むパワー半導体。2025年にはSiCとGaNが1860億円の市場にまで成長するとの予測。富士経済調べ。
CPUやメモリ、ICといった「小さな電力」で動作する半導体に対して、交流/直流の変化や電圧の降圧など「大きな電力」を扱うパワー半導体。いずれもシリコン(Si)を主材料とするが、パワー半導体に関してはより電気を通しやすく、電力損失が発生しにくい新しい半導体材料の研究開発が進んでいる。
採用例が増えている素材としてはSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイト)、GaN(窒化ガリウム、ガリウムナイトライド)の2種類があり、これらを採用したパワー半導体が「次世代パワー半導体」として徐々に姿を現しつつある。
富士経済はSiCやGaNといった次世代パワー半導体、さらには次々世代パワー半導体として注目されている酸化ガリウム系やダイヤモンド系パワー半導体の世界市場動向を調査、「2017年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」として発表した。調査は調査員による参入企業および関連企業団体などへのヒアリングならびに関連文献調査、社内データベースを併用して行われた。調査期間は2016年11月〜2017年1月。
SiCパワー半導体については既に生産効率の高い6インチウエハーの本格製造が開始されており、また、ウエハーの大口径化やトレンチタイプ製品の投入も始まることで低価格化が進むとみられる。富士経済の予測では、2025年にSiCパワー半導体の世界市場は2016年の6.9倍である1410億円にまで拡大するとしている。
■SiCパワー半導体とその主要用途の世界市場(出展:富士経済)
―― | 2016年 | 2025年予測 | 2016年比 |
---|---|---|---|
SiCパワー半導体全体 | 205億円 | 1410億円 | 6.9倍 |
情報通信機器 | 68億円 | 287億円 | 4.2倍 |
新エネルギー | 57億円 | 390億円 | 6.8倍 |
自動車・電装 | 38億円 | 291億円 | 7.7倍 |
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