ニチコンは、大容量でコストパフォーマンスに優れた単機能家庭用蓄電システム「ESS-U2M1」を2016年10月1日に発売した。
電子部品メーカーのニチコンは、大容量でコストパフォーマンスに優れた単機能家庭用蓄電システム「ESS-U2M1」を10月1日に発売する。蓄電容量は業界最大級の11.1kWh(キロワット時)となる。今後、住宅メーカーへの直販以外にも、太陽光発電システムメーカー、住宅建材商社など、幅広いルートで販売を進める方針だ(図1)。
ニチコンはもともとは電子部品メーカーだが、2012年夏に家庭用の蓄電システムの第1号を発売して以来、日本国内向けに合計約3.4万台以上の蓄電システムを販売している。太陽光発電の売電価格が年々低下傾向の一方で電気料金は徐々に上昇傾向にあり、今後は自家消費するニーズが徐々に高まると見られている。特に2009年に余剰電力買取り制度が開始されてから10年後の2019年に全国で45〜57万棟の売電終了ユーザーが発生するとみられ、蓄電システムの追加で売電から自家消費への移行ニーズが期待されている。
さらに、2016年度から、CO2削減のためのZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)推進政策や、既築住宅への断熱改修促進政策の中で、太陽光発電を自家消費するための蓄電システムの補助制度も始まり、新築、既築住宅への蓄電システム設置のニーズも高まりつつある。ニチコンではこれらの需要に応えて、通常時の充放電容量をそのままに非常時の備えに常時30%(3.3kWh)を確保するために従来機(7.2kWh)に比べて大容量(11.1kWh)モデルを発売する。
ESS-U2M1は発生時が予想しにくい地震などの災害や、停電に備えて、3.3kWhの電力を通常時には使わずに蓄電システムに常に蓄えておく設定となっている。そのため、いつ停電が発生しても約7時間は標準的な家電を使用し続けることが可能だ。またトータルで11.1kWhという大容量のため、停電に備えて蓄えておく3.3kWhの他に、普段の暮らしで7.8kWhの電力が有効に活用できる。フル充電時ではリビング用シーリング照明・冷蔵庫・液晶テレビ・携帯電話充電器などの標準的な家電を最大約24時間使用可能。高まる災害不安の対策と電力の自給自足を実現でき、太陽光システムを既に設置している人にも適している。
希望小売価格は320万円で、1kWhあたり30万円以下というコストパフォーマンスを実現した。高い接続性能でほとんどのメーカーの太陽光システムとも接続・保証可能だ。また、屋外設置で10年間無償保証(リモコンは5年間)、室内リモコンとネットワーク制御(ネットワーク見守り、ファームダウンロード、HEMSなしでもデマンドレスポンス可能)などの特徴がある。同社では従来機の単機能型モデルと合わせて、初年度月間1500台の販売目標を立てている。
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