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容量12kWhの家庭用ハイブリッド蓄電システムニチコン ESS-H1L1

ニチコンは、ハイブリッド型として“同社初”となる家庭用蓄電システムの新製品「ESS-H1L1」の受注を開始した。

» 2016年06月27日 10時00分 公開

 電子部品メーカーのニチコンは、ハイブリッド型としては同社初となる家庭用蓄電システムの新製品「ESS-H1L1」の受注をこのほど開始した。2016年7月以降順次出荷する予定だ。同社は2012年夏に家庭用蓄電システムの第1号を発売して以来、国内向けに合計約3万台以上の蓄電システムを生産・出荷してきた。これらの蓄電システムは、太陽光発電からの電力を交流で入力する単機能型に分類されるもので、売電を主目的とする太陽光既設ユーザーの追加設置需要に伴い実績を伸ばした。

 しかし、売電価格は年々低下傾向の一方で電気料金は徐々に上昇傾向にあるため、今後は太陽光発電を自家消費するニーズが高まるとみられている。2009年に始まった余剰電力買取り制度から10年後となる2019年には、全国で45〜57万棟の売電終了ユーザーが発生するとみられ、蓄電システムの追加で売電から自家消費への移行ニーズが期待されている。


 また、2016年度からCO2削減のためのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)推進政策や、既築住宅への断熱改修促進政策の中で、太陽光を自家消費するための蓄電システムの補助制度も始まり、新築、既築住宅への蓄電システム設置のニーズも高まりつつある。



 ニチコンはこれらの需要に応えるべく、太陽光発電による電力を迅速に蓄えて夜間にも使え、停電時も家中ほとんどの電気機器などをバックアップ可能な、大容量・高出力ハイブリッド蓄電システムを今回発売する(図1)。

発売するハイブリッド蓄電システム「「ESS-H1L1」 図1 発売するハイブリッド蓄電システム「「ESS-H1L1」 出典:ニチコン

 従来の単機能型では、直流で発電された太陽光発電の電力をパワーコンディショナで一度交流に変換する。そしてこの電力を蓄電池に充電するには、もう一度直流に変換するため、変換ロスが生じる点が指摘されてきた。このロスを最小限に留めるために太陽光と蓄電池のパワコンを一体化したのがハイブリッド型だ。また、太陽光発電や蓄電充放電量などの運転状況を一台で確認し、さらに制御も行うことが可能で、将来期待されるDR(デマンド・レスポンス)やVPP(バーチャル・パワー・プラント)などの新サービスにも対応しやすい特徴がある。

 蓄電池は業界最大級とする容量12kWh(キロワット時)のものを採用。高出力・高効率ハイブリッド・パワー・コンディショナを搭載し、これにより系統連系出力5.9kW(キロワット)、太陽光入力最大6kW。および太陽光から蓄電池充電能力最大5.9kW、自立時出力5.9kVA(キロボルトアンペア)の性能を確保している。停電時出の出力は約6kW。燃料電池との連携も可能で、酷寒地域にも設置できる。この他リモコンも付属し、15年間の長期無償保証(リモコンは5年間)や各種蓄電システム補助金への登録にも対応している。

 これまで「ニチコン」ブランドの蓄電システムは、一部を除いて、主に住宅メーカーだけに直販してきたが、新製品は太陽光発電システムメーカー、住宅建材商社などさまざまなルートで販売する。従来機の単機能型モデルと合わせて、初年度は月1500台の出荷を目標とする。

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