業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る(6)
「Solid Edge」を6つの視点で徹底評価する(1/2 ページ)
「機能性」「コスト性」「操作性」「連携性」「効率性」「運用性」の6つのポイントでレーダーチャートを作成し、3D CAD製品を評価する連載。今回はシーメンスPLMソフトウェアが開発および提供するミッドレンジ3D CAD「Solid Edge」を取り上げます。
Solid Edgeとは?
「Solid Edge(ソリッドエッジ)」は、1996年にWindows完全準拠の3D CADとしてIntergraphによって開発されました。当時のカーネルは「ACIS(エイシス)」を採用し、バージョン4まで開発。1998年、EDSにより買収され、Unigraphics Solutionsが設立。そこに、EDSの「UG(現:NX)」「i-Man(現:Teamcenter)」「Parasolid(パラソリッド)」のビジネスユニットが加わり、カーネルをParasolidに変更して、バージョン5がリリースされました。その後、EDSはSDRC(Structural Dynamics Research Corporation)を買収し、社名をEDS PLM Solutionsに変更。それ以降は、UGS PLM Solutions、UGSと何度か母体を変えながら、現在シーメンスPLMソフトウェアによってSolid Edgeの開発が継続されています。
なお、同社はハイエンド3D CADとして「NX(エヌエックス)」を保有していますが、NXの優れた機能をSolid Edgeに搭載するなど、シナジーを発揮しながら強力な進化を続けています。現在の最新バージョンは「Solid Edge 2019」(原稿執筆時点:2019年3月)で、機械や装置、医療機器などの製造業全般の設計で使用されています。
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いざ、Solid Edgeを分析!
それでは、連載第1回で紹介した6つのポイントに合わせて、Solid Edgeの特長を細かくチェックしてみましょう。
6つのポイントとは、
- 機能性
- コスト性
- 操作性
- 連携性
- 効率性
- 運用性
でしたね。そして、1.機能性の部分をさらに細かく分割して
(1)モデリング(曲面以外)
(2)モデリング(曲面)
(3)アセンブリ
(4)図面
(5)検査
(6)変更・修正
のレーダーチャートを作成しました。
まずは、1.機能性についてです。(1)モデリング(曲面以外)に関して、Solid Edgeは一般的なミッドレンジ3D CADと同等のモデリング機能が搭載されています。モデルの基本的な作成方法としては、スケッチ描き、それを基に突き出しや回転といったフィーチャーを使いながら立体化していきます。
Solid Edgeでは、他の一般的な3D CADでいうところの「押し出し」のことを「突き出し」と呼び、「フィレット」のことを「丸みづけ」と呼びます。他の3D CADを使用している方は少し違和感を覚えるかもしれませんが、日本人的には分かりやすく、なじみやすいネーミングではないかと思います。ちなみに、コマンド名の上にマウスカーソルを置くとアニメーション付きで機能を説明してくれます。初心者の方にとって、非常にありがたい機能ではないでしょうか。
他にも、パラメータを入力するだけで歯車、軸、カムなどを自動生成できる機能があり、良く使われる方には便利な機能があります。
Solid Edgeの最大の特長は、「シンクロナス・テクノロジー」と呼ばれる、ヒストリー(履歴あり)とノンヒストリー(履歴なし)の両方を混在させながら作業できる環境を実現している点にあります。
ヒストリーモデリングの場合、設計変更にうまく対応できるよう、パラメータや要素とのリンク関係をしっかりと構築できていれば問題ありませんが、想定外の設計変更が生じた際、モデルにエラーが発生して修復作業に多大な時間を費やしてしまった……という苦い経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
これに対し、シンクロナス・テクノロジーの環境では、形状を設計意図に関連付けてダイレクトに編集できます。他社の3D CADでもダイレクト編集は機能として搭載されていますが、Solid Edgeのダイレクト機能は設計意図とうまく関連付けられる点で頭一つ抜き出ていると筆者は感じています。また、ダイレクト機能が優れていることもあり、板金設計(シートメタル)機能でもSolid Edgeは定評があります。
(2)モデリング(曲面)については、「Rapid Blue」と呼ばれるSolid Edge独自のサーフェステクノロジーにより、複雑な曲面をG1(接線)、G2(曲率)の連続性をコントロールしながら作成可能です。そのため、コンシューマー製品の意匠設計にもSolid Edgeは使用できます。
(3)アセンブリに関しては、部品をライブラリからドラッグ&ドロップで追加でき、拘束は一般的なミッドレンジ3D CADと同様に、面や軸での位置合わせ、平行や角度設定などを行い、部品と部品との組み付けが可能です。標準の部品ライブラリにはボルトや鋼材などが用意されており、それを読み込んで配置できます。また穴を選ぶだけで、それに適した呼び径のボルト、ナット、座金などを一度に配置することも可能です。
また、クローン配置機能というものがあり、アセンブリ環境で特定のフィーチャーを検出し、そこにパーツもしくはアセンブリを自動配置できます。例えば、プレート上の穴フィーチャーに対して、複数のクランプアセンブリを一度に配置できるため、アセンブリの工数を大幅に削減できます。さらに大規模アセンブリの場合には、表示だけをするライトウェイト機能や、単純化機能を使用することで素早く形状を確認することが可能です。
(4)図面機能に関しては、ウィザード形式で対話しながら進めるだけで3Dモデルから2次元図面を生成できます。さまざまな種類の図面に対応し、詳細な寸法や注釈のスタイル設定も可能です。分解図の作成、部品表の自動生成、回路図などを作成するためのダイヤグラム機能や、AutoCAD互換のブロック機能など、作図機能が充実しています。
とても便利な機能として、2つの図面を比較して差異のある部分を簡単に検出できる図面比較機能があり、検図や図面承認の工数を削減できます。比較の結果はイメージデータとして保存し、いつもでも呼び出すことが可能です。
(5)検査機能に関しては、計測コマンドを使用して距離や角度が測定でき、質量、体積、重心、慣性モーメントなどの物理特性も確認することが可能です。曲率や抜き勾配もチェックボタンを入れるだけで簡単に確認できます。3次元注記機能も充実しており、3Dモデルに直接、寸法や注記を追加でき、その情報をそのまま2次元図面の生成時に活用できます。さらに、設計ルールに違反があった場合に警告を表示するセンサー機能もあります。板金加工フィーチャーに加工単価を設定し、製造コストを自動精算するといったことも可能です。
(6)変更・修正に関してですが、(1)モデリング(曲面以外)のところでも説明しましたが、シンクロナス・テクノロジーを使用することで、履歴に捉われることなくダイレクトにモデルを変更、修正できます。アセンブリや図面とのリンク関係も維持され、変更が反映されます。
また、ライブ断面という機能があり、3Dモデルの断面を作成して、2次元の断面形状を図面修正するような感覚で3Dモデルの編集が可能です。2D CADで当たり前のようにあるストレッチ編集を、Solid Edgeの場合は3Dモデル上で行えます。ウィンドウ選択などで動かしたい部品の要素を選択し、複数部品を同時に伸ばしたり、縮めたりすることもできます。取り込んできた外部の3Dモデルデータの変更、修正も容易に行えます。さらに履歴を持たない外部データに対して寸法を付加し、その寸法を変更することでモデルを修正することが可能です。この点も他のソフトと異なる特長といえます。
2.コスト性についてですが、通常の買い取り方式(永久ライセンス)に加え、柔軟なライセンス運用が可能な「マンスリーサブスクリプション」方式での提供も行っています。月単位でのライセンス購入が可能で、クラウドライセンスを利用すればライセンスと個人設定がクラウドで管理されるため、デスクトップ用のPCと外出用のモバイルPCの両方で利用できます。
パッケージは大きく4つに分かれており、基本的な部品、アセンブリ、図面作成が可能な「Solid Edge Design&Drafting」が月額1万5000円、サーフェスモデリングや板金機能が追加された「Solid Edge Foundation」が月額3万円、歯車などの機械要素の自動設計、機械標準部品ライブラリや簡易的な解析機能が付いた「Solid Edge Classic」が月額4万円、ワイヤハーネス設計、配管設計、有限要素法による解析機能が付いた「Solid Edge Premium」が月額6万円です。月単位でグレードを変更することができるため、解析を使いたいときだけ切り替えるといった柔軟なライセンス運用が可能で、コストを必要最低限に抑えられます。
3.操作性についてですが、「操縦ハンドル」と呼ばれる矢印をドラッグすることでスケッチを押し出して立体化したり、面を移動させたり、回転させて角度を付けたり、コピーしたりなど、感覚的な操作が可能です。寸法をダブルクリックで編集したり、右クリックからメニューを選択したりもできるため、初心者の方でも、ある程度の学習期間があれば、すぐに使えるようになると思います。
4.連携性についてですが、「SOLIDWORKS」「Inventor」「CATIA V5」「NX」といった、他の3D CADからデータを取り込み、シンクロナス・テクノロジーを使用して編集できます。また、IGESやSTEP、ACIS、Parasolidといった中間ファイルの入出力にも対応しているため、他の3D CADソフトとの連携も問題なく行えます。
軽量な3D表示データ形式として定評のある、JTフォーマットにも対応。さらに、2D CADデータから3Dモデルを作成するCreate3Dという機能により、取り込んだ図面データを正面、側面などに配置して、線データからモデリングできる他、取り込んだ図面の寸法の値をダブルクリックして値を変更し、形状を編集することも可能です。
Solid Edgeは、2Dと3Dとの連携性にも優れているといえます。その他、KeyShotと連携したレンダリングや3Dプリンタへのデータ転送機能なども搭載しています。「Windows 10」環境でSolid Edgeを利用している場合、Windows標準アプリの「3D Builder」へダイレクトに3Dモデルを渡して、3Dプリントできます。
5.効率性についてですが、シンクロナス・テクノロジーを使用することでデータ修正の効率を上げることができます。また、さまざまな支援ツール、ハーネス検討支援ツール、金型設計支援ツール、溶接ビード定義、ドキュメント作成支援ツールなどを使用することで、作業効率を上げることが可能です。その他、ショートカットキーの割り当てや右ドラックでのメニュー表示機能があるため、コマンドへのアクセスを素早く行うことができます。
6.運用性についてですが、2.コスト性のところでも触れましたが、1カ月単位ライセンス利用できるため、台数が必要な月は数を増やしたり、解析をしたい月だけグレードアップしたりといった柔軟な運用が可能です。無償の専用ビュワーがあり、Solid EdgeをインストールしていないPCでも生データを閲覧できます。その他、iPadやAndroidなどのタブレット端末に対応した無償ビュワーも提供されているため、モバイル環境でのデータ共有が可能で、他社や他部署とのコミュニケーションをスムーズに行えるツールがそろっています。データ管理についてですが、簡易的なデータ管理機能は始めから搭載されていますし、シーメンスPLMソフトウェアの「Teamcenter」をオプション追加することで、高度なデータ管理を行うことも可能です。
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業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る
3D CADソフトの選定を行う際、皆さんはどのような基準で評価を行っているだろうか。本連載では、3D CADをどのようなポイントで選べばよいか? さまざまな3D CADソフトや機能を紹介しながら、レーダーチャートでその特性や機能性を評価する。
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