設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(7)
3D CAD導入による「効果」を実感できるのはいつか?(1/2 ページ)
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第7回では、「プロジェクト計画書」を作成する上で必要となるやるべき作業の洗い出しと、3D CAD導入による投資対効果について解説する。
前回は、特別編として「SOLIDWORKS World 2017」の現地レポートを紹介しました。現地の空気を肌で感じ、筆者も3D CADから始まる世界観にかなり感化されてきました。そんなSOLIDWORKS World 2017の熱気を勢いに変えて、本筋の3D CAD推進プロジェクトの話を進めていきましょう!
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やるべき作業をモレなく、ダブリなく決めていく
前々回は、「プロジェクト組織」の特徴やプロジェクトを推進する上での注意点について解説しました。今回は「プロジェクト計画書」を作成します。プロジェクト計画書を作成するに当たり、まず“やるべき作業”を決めていきます。その際、モレなくダブリなく、細かな作業を決めていかなければなりません。「モレなく、ダブリなく」といえば……、そう「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」です(詳しくは連載第4回を参照)。
細かな作業を決めるに当たっては、「WBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)」の作成を行います。WBSは、一覧表やマインドマップを作成してまとめていくことになりますが、まずはこの作業を行うための事前準備を行います。
始めに、作業内容を洗い出します。1人で行わなければならない場合も、プロジェクトチームで行う場合も、この作業内容の洗い出しを行い、これをさらに細分化していきます。ちなみに、細分化された作業のことを「ワークパッケージ」と呼びます。
ワークパッケージを洗い出すためには、ブレーンストーミングやマインドマップが有効です。ここでは「3D CAD推進を行うためには?」という問いに対して、洗い出し作業を行います。筆者の場合、既に1次的なヒアリング(詳しくは連載第3回を参照)を行っていますので、その課題に対してのワークパッケージを洗い出すことにしました。
図2は、3D CADデータが関係するであろう部門における、それぞれの作業についてワークパッケージの洗い出しを行った例(KJ法)となります。突き詰めていくと、さらに細分化する必要のある作業もあるかと思います。さて、今回の例(図2)では、各部門を対象に行わなければならないワークパッケージがあります。それは「ワークフロー分析(ワークフローの調査)」です。
ここから、WBSをより具体的な計画に落とし込めるよう、「時間軸」でレベルを設定してみることにします。
すると、
- フェーズ1:導入前作業 ⇒ 現状分析、モデル構想、プロセス検討
- フェーズ2:導入作業 ⇒ 実施、運用
- フェーズ3:運用状況チェック、指標計測、マイルストーン
- フェーズ4:運用へのフィードバック
のようにフェーズ分けできます。筆者の場合、これをPDCA(Plan[計画]、Do[実行]、Check[検証]、Action[改善])サイクルとして考えました(図3)。
今回“ワークフロー”を重視したのは、部門内の流れ、部門間での情報の受け渡しという中に、3D運用の課題を見いだし、それを改善へと導くことによって、設計部門だけではなく、「全社での効果を得よう」と考えたからです。実際、ワークフローを作成する際は、各部門にお願いすると同時に自身が理解するために、とにかく聞き込み調査を行います。筆者の場合、この聞き込み調査とワークフローからの課題抽出に最も時間を掛けました。
投資対効果と費用対効果の違いとは?
このような作業を進めていると、次第に投資規模の詳細が明らかになってきます。
投資規模といえば、何か新しいことなどを始める際、「投資対効果はどうなの?」といった話題になることがあると思いますが、「投資対効果(ROI:Return On Investment)」と「費用対効果(Cost Effectiveness)」って何が違うのでしょうか? どちらもよく聞く用語ですが、混同して使っている方も多いのではないでしょうか? そこで筆者がお世話になっている公認会計士さんに、この違いについて聞いてみました。以下でその回答をご紹介します。
投資対効果と費用対効果は、明確に異なります。まず前者は「長期」、後者は「短期」の概念といえます。費用といった場合、期間損益の概念が前提で、「基本1年間の発生費用に対応して、果実(効果)がどうであったか?」を評価する考え方です。一方、投資とは数年間にわたって支払った対象事業の総額に対し、その事業が終了するまでの間に総合計としてもうかったか否か? を判断します。ですので、基本1年間の出費の中でその効果を測定する場合は、出費を始めから費用で計上し、果実を収益で対応させて利益を計算します。その利益と費用を比較するのが費用対効果です。例えば、広告宣伝費などは、毎年一定額を掛けその効果を測定し(利益)、掛けた広告費と比較しますが、基本毎期1年ごとに単独に費用対効果として把握し、その内容や推移を見て効果を判断します。
一方、固定資産は一定の設備を長期にわたって回収しますので、例えば10年使う機械の価格が1000万円ならば、この1000万円という投資に対し、10年間で回収できる利益を求め、これと(機械の価格)1000万円を比較して判断します。特に今は低金利ですが、1000万円もの機械を買わずに金融資産で運用する方法もあり、この投資効果はよく利回りと比較されます。「最低この金融資産の利回りを上回ることができなければ、投資効果はない」と判断されるという意味です。
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設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。 ◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[3D CAD][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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